訪問看護の医療保険と介護保険の違いとは?対象者・訪問看護の医療保険と介護保険の違いとは?対象者・利用条件・費用を比較利用条件・費用を比較

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親の退院が近づき、病院から訪問看護をすすめられたとき、「介護保険を利用するのか、医療保険を利用するのか」「毎週何回まで来てもらえて、いくらかかるのか」と戸惑うご家族は少なくありません。同じ訪問看護ステーションの看護師が訪問する場合でも、利用する保険によって回数の決まり方や支払いの仕組みが異なります。そのため、説明を聞いてもすぐには理解しにくいものです。

この記事では、訪問看護で利用する保健を決める原則、回数・時間・自己負担の違い、保険が切り替わるときの手続きを、2026年(令和8年)度の診療報酬改定後の告示・通知にもとづいて整理します。

この記事でわかること

  • 訪問看護で利用する保険が決まる原則と年齢による違い
  • 要介護認定があっても医療保険になる4つのケース
  • 医療保険と介護保険の回数・時間・自己負担の比較
  • 保険が切り替わるときの手続きと相談先への確認点

訪問看護の医療保険と介護保険の違い

訪問看護は、医療保険と介護保険のどちらからも給付されるサービスです。ただし、利用者が自由に選べるわけではなく、年齢や要介護認定の有無、病気の種類によって利用する保険が決まります。

要介護認定を受けている方は介護保険が優先

訪問看護の保険を考えるとき、まず「要介護・要支援の認定を受けている方は介護保険の訪問看護を利用する」という点を押さえておきましょう。医療保険の訪問看護療養費についても、介護保険の要介護被保険者等は別に定める場合を除いて算定しないと告示で定められています。

要介護認定を受けている方が訪問看護を利用する場合、まずは介護保険でケアプランに組み込むのが基本です。ただし、病気や心身の状態などによっては、例外として医療保険の訪問看護を利用するケースもあります。介護保険と医療保険の違いを理解するには、まずこの「介護保険が基本で、一定の条件では医療保険に切り替わる」という仕組みを知っておくことが大切です。

要介護認定を受けていない方と40歳未満の方は医療保険

要介護認定を受けていない方は、65歳以上であっても、原則として介護保険の訪問看護は利用しません。そのため、訪問看護が必要な場合は、医療保険を利用することになります。たとえば、退院後の服薬管理や体調確認などのために訪問看護を利用したい高齢者は、医療保険の対象となる場合があります。

40歳未満の方は、介護保険の被保険者ではないため、基本的に医療保険による訪問看護を利用します。ただし、年齢だけでなく、加入している健康保険や病気・状態などによって取り扱いが異なる場合があるため、実際の利用時には確認が必要です。

40歳から64歳の方は特定疾病かどうかで分かれる

40歳から64歳の方は、介護保険の第2号被保険者にあたります。この年代で介護保険のサービスを利用できるのは、脳血管疾患、末期がん、関節リウマチ、パーキンソン病関連疾患など、介護保険法施行令で定められた16の特定疾病が原因で要介護・要支援の認定を受けた場合に限られます。

特定疾病以外の病気で訪問看護が必要な場合や、要介護認定を受けていない場合は、64歳以下でも医療保険の訪問看護になります。同じ50代でも、脳梗塞の後遺症で認定を受けた方は介護保険、特定疾病に当たらない方は医療保険と分かれるため、年齢だけで判断しないことが大切です。

要介護認定があっても医療保険の訪問看護になるケース

要介護認定を受けている方でも医療保険の訪問看護になる主なケースを見ていきます。

厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)に該当する場合

末期の悪性腫瘍や神経難病など、厚生労働大臣が定める疾病等に当たる方は、要介護認定を受けていても訪問看護は医療保険の対象となります。この疾病等は「特掲診療料の施設基準等」という告示の別表第7に列挙されているため、訪問看護の現場では「別表7」と呼ばれることがあります。

別表第7の主な疾病等を次の表にまとめました。パーキンソン病についてはすべての患者が対象となるわけではありません。進行度を示すホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上で、生活機能障害度が2度または3度の方に限られます。

分類 別表第7に掲げられている主な疾病等
がん 末期の悪性腫瘍
神経・筋の難病 多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患、多系統萎縮症、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎
その他の疾病 プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷
状態 人工呼吸器を使用している状態

要介護認定を受けているパーキンソン病の方でも、症状が進んで上記の基準に当てはまると、訪問看護は医療保険に移ります。

別表第8の状態は訪問回数の上限に関わる

別表第7とあわせて押さえておきたいのが別表第8です。別表第8には、気管カニューレや留置カテーテルを使用している状態、在宅酸素療法や在宅中心静脈栄養法などの指導管理を受けている状態、人工肛門・人工膀胱を設置している状態、真皮を越える褥瘡の状態などが掲げられています。2026年度の改定では、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態が加わりました。

別表第8に該当するだけでは、要介護認定を受けている方の訪問看護は医療保険に切り替わりません。別表第8が主に関係するのは、医療保険で訪問看護を利用している方について、週4日以上の訪問が認められるケースです。

特別訪問看護指示書が出ている期間

急な病状の悪化や退院直後などで、主治医が一時的に頻回の訪問看護が必要と判断すると、特別訪問看護指示書が交付されます。この指示があった日から14日を限度として、要介護認定を受けている方でも訪問看護は医療保険の対象となります。その期間は、介護保険の訪問看護費は算定されません。交付は原則月1回で、一定の状態にある場合は月2回まで認められています。

14日の期間が終われば、訪問看護は再び介護保険の対象に戻ります。指示書の交付場面や期間の数え方の詳細は、特別訪問看護指示書を扱う記事で解説しています。

精神科訪問看護を利用する場合

統合失調症やうつ病などの精神疾患があり、精神科の主治医から精神科訪問看護指示書が交付された場合も、要介護認定の有無にかかわらず医療保険が対象の精神科訪問看護になります。服薬の継続や生活リズムの支え、家族への助言などが中心です。

ただし、認知症が主な病名である方は、原則としてこの扱いの対象外です。認知症の親の訪問看護は、基本的には介護保険で利用すると考えておきましょう。

医療保険と介護保険の回数・時間・費用の違い

利用する保険が変わると、回数の決まり方、1回の時間、自己負担の計算方法も変わります。

医療保険は原則週3日まで

医療保険の訪問看護は、利用者1人につき原則として週3日が上限です。ただし、別表第7の疾病等や別表第8の状態に当たり、週3日を超える訪問が必要な方は、週4日以上の訪問が認められています。特別訪問看護指示書の期間中も、14日の範囲で毎日の訪問が可能です。

精神科訪問看護も原則週3日までですが、退院後3か月以内は週5日まで認められています。

介護保険は区分支給限度基準額の範囲でケアプランに位置づける

介護保険の訪問看護には、医療保険のような週何日という上限はありません。その代わり、要介護度ごとに1か月に利用できるサービスの上限である区分支給限度基準額が決まっており、訪問介護やデイサービスなどほかのサービスと合わせて、その範囲内でケアマネジャーがケアプランに位置づけます。

上限は、要支援1が5,032単位、要介護1が16,765単位、要介護5が36,217単位です。上限を超えた分は全額自己負担になるため、訪問看護を増やすとほかのサービスを減らす必要が出ることもあります。

1回あたりの訪問時間の違い

医療保険の訪問看護は、1回の訪問につき30分から1時間30分程度が標準とされ、時間の長さではなく1日単位で費用が決まります。1回90分を超える長時間の訪問は、別表第8の状態の方や特別訪問看護指示書の期間中の方などに限って、原則週1日まで長時間訪問看護加算の対象となります。

介護保険の訪問看護は、20分未満、30分未満、30分以上1時間未満、1時間以上1時間30分未満という所要時間の区分で費用が決まります。状態が変わって長い時間が必要になった場合は、ケアプランの見直しが必要です。

自己負担割合と費用の目安

自己負担の割合は、医療保険では70歳未満が3割、70歳から74歳が2割、75歳以上が1割で、一定以上の所得がある方は2割、現役並み所得の方は3割です。介護保険では原則1割で、所得に応じて2割または3割になります。

看護師が訪問した場合の費用を基本的な料金だけで比べると次のとおりです。実際には24時間対応体制や特別管理などの加算が上乗せされ、介護保険では地域によって1単位の単価が10円から11.40円まで異なるため、あくまで目安として捉えてください。

項目 医療保険 介護保険
主な対象者 要介護認定のない方、40歳未満の方、別表第7の疾病等の方、特別訪問看護指示書の期間中の方、精神科訪問看護の方 要介護・要支援の認定を受けている方(40〜64歳は特定疾病が原因の方)
回数の決まり方 原則週3日まで(別表第7・第8などは週4日以上可) 区分支給限度基準額の範囲でケアプランに位置づけ
1回の時間 30分から1時間30分程度が標準 20分未満から1時間30分未満までの4区分
基本料金の例 基本療養費5,550円(週3日目まで)+管理療養費(月の初日7,710円、2日目以降3,010円) 30分以上1時間未満で823単位(約8,230〜9,380円)
1割負担の場合の目安 月の初日約1,330円、2日目以降約860円 1回約820〜940円

どちらの保険でも、1か月の負担が大きくなった場合には、医療保険の高額療養費制度や介護保険の高額介護サービス費制度で上限を超えた分が払い戻される仕組みがあります。

保険が切り替わるときの手続きと確認点

訪問看護の保険は、要介護認定の結果や病状の変化によって途中で切り替わることがあります。その流れと確認点を整理します。

医療保険から介護保険へ切り替わるとき

医療保険で訪問看護を利用していた方が要介護認定を受けると、別表第7の疾病等に当たらない限り、訪問看護は介護保険の対象に移ります。認定の結果が出たら、ケアマネジャーにケアプランを作ってもらい、そこに訪問看護を位置づけることが必要です。

要介護認定は申請日にさかのぼって効力が生じるため、認定の申請中に訪問看護を利用し始めた場合は、保険の適用について訪問看護ステーションに事前に確認しておくと安心です。

介護保険から医療保険へ切り替わるとき

介護保険で訪問看護を利用していた方が、病状の進行で別表第7の疾病等に当たるようになった場合や、末期がんと診断された場合は、訪問看護が医療保険の対象に切り替わります。この場合は、訪問看護ステーションに医療保険の資格情報(マイナ保険証など)を示し、医療保険での訪問介護が始まります。

訪問看護が医療保険に移っても、訪問介護や福祉用具のレンタルなどほかのサービスは介護保険のまま利用できます。また、訪問看護の費用が区分支給限度基準額から外れるため、その分の枠をほかのサービスに回せるようになります。。

ケアマネジャーに確認したいこと

ケアマネジャーには、まず本人の訪問看護がどちらの保険で行われる見込みかを確認しましょう。介護保険の場合は、区分支給限度基準額のうち訪問看護に使う分と、ほかのサービスとの配分を聞いておくと費用の見通しが立ちます。

病状の変化で医療保険に移る可能性があるときや、退院直後に特別訪問看護指示書が出そうなときは、その期間のケアプランの組み直しについても相談しておくとよいでしょう。

訪問看護ステーションに確認したいこと

訪問看護ステーションには、契約の前に、医療保険と介護保険それぞれの場合の料金表を見せてもらいましょう。24時間対応体制の加算など、基本料金以外の上乗せ費用の有無で月々の負担は変わります。

あわせて、夜間・休日に体調が変わったときの連絡方法も確認しておきたいポイントです。指示書の依頼先や有効期間の管理は、訪問看護指示書を扱う記事で詳しく説明しています。また、保険の区分が変わる場面では、ステーションとケアマネジャーの間で情報を共有してもらえるよう、家族から一声かけておくと行き違いを防げます。

よくある質問

Q. 医療保険と介護保険の訪問看護は、家族が選べますか?

A. 選ぶことはできず、年齢や要介護認定の有無、病気の種類によって決まります。要介護認定を受けている方は介護保険が優先で、別表第7の疾病等や特別訪問看護指示書の期間、精神科訪問看護などの場合に医療保険になります。

Q. 要介護認定を受けている親が、医療保険で週4日以上の訪問看護を受けられるのはどんな場合ですか?

A. 末期の悪性腫瘍や神経難病など別表第7の疾病等に当たる場合や、特別訪問看護指示書が交付された14日の期間中が代表的です。別表第8の状態に当たるだけでは、訪問看護は介護保険の対象のままです。

Q. 介護保険の訪問看護に回数の上限はありますか?

A. 医療保険のような週何日という上限はありませんが、要介護度ごとの区分支給限度基準額の範囲でケアプランに位置づけます。上限を超えた分は全額自己負担になるため、回数はケアマネジャーと相談して決めましょう。

まとめ

訪問看護は、要介護認定を受けている方は介護保険が優先され、要介護認定のない方や40歳未満の方は医療保険を利用します。要介護認定があっても、別表第7の疾病等に当たる場合、特別訪問看護指示書が出ている14日間、精神科訪問看護を受ける場合は医療保険の対象になります。医療保険は原則週3日までの1日単位、介護保険は区分支給限度基準額の範囲で時間区分ごとに費用が決まるという違いがあります。

退院が決まった段階や、病名・病状が変わったタイミングで、ケアマネジャーにどちらの保険で訪問看護を利用する見込みかを確認し、訪問看護ステーションには契約前に両方の料金表を見せてもらいましょう。要介護認定をまだ受けていない場合は、退院前に病院の医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターに申請を相談しておくと安心です。

この記事のまとめ

  • 要介護認定がある方の訪問看護は介護保険が基本
  • 別表第7の疾病等・特別指示の期間・精神科は医療保険
  • 医療保険は原則週3日、介護保険は支給限度額の範囲内
  • 保険が変わるときはケアマネとステーションで情報を共有