ショートステイの費用はいくら?内訳・介護保険と自費利用の違いを解説

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家族の出張や冠婚葬祭、介護疲れの休息のためにショートステイを考え始めたとき、「1泊いくらかかるのか」「介護保険が使えるのはどこまでか」と費用が気になる方は少なくありません。見積もりには介護保険の自己負担に食費や滞在費、加算が重なり、何にいくら払うのかがわかりにくいこともあります。

この記事では、厚生労働省の資料や自治体の案内をもとに、費用の内訳、施設の種類と部屋タイプによる違い、要介護度別の費用例、軽減制度、自費になるケースと費用を抑える方法を、2026年9月時点の制度で整理します。

この記事でわかること

  • ショートステイの費用の内訳と自己負担の仕組み
  • 施設の種類と部屋タイプによる費用の違い
  • 要介護度別の1日あたり費用例と負担軽減の制度
  • 自費利用になるケースと費用を抑える方法

ショートステイの費用の内訳と自己負担の仕組み

ショートステイの請求額は、介護保険が使える部分と使えない部分の合計です。

費用は介護保険の自己負担と保険外の費用に分かれる

ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)の1日の費用は、「介護保険サービス費の自己負担」「食費」「滞在費」「日常生活費などの実費」の4つで構成されます。このうち介護保険が適用されるのは、介護や機能訓練などのサービスそのものにかかる費用だけです。

食費と滞在費は保険の対象外で、利用日数に比例して増えるため、数日の利用でも合計額に占める割合が大きくなります。見積もりでは4つを分けて確認すると全体像がつかみやすくなります。

介護保険サービス費の自己負担は1〜3割

介護保険サービス費は「単位」で定められており、1単位あたりの単価(原則10円、地域により上乗せ)を掛けた額のうち、所得に応じて1割・2割・3割を利用者が負担します。2割負担は本人の合計所得金額が160万円以上、3割負担は220万円以上の方が対象になるのが基本で、年金収入などとの合計額でも判定されます。

負担割合は、市区町村から届く「介護保険負担割合証」に記載されています。同じ施設・同じ部屋でも、2割負担なら介護保険サービス費の自己負担は1割負担の2倍になるため、試算の前に負担割合証で確かめておくと見積もりのずれを防げます。

食費と滞在費は原則として全額自己負担

食費と滞在費(部屋代や光熱水費にあたる費用)は介護保険の対象外で、施設との契約で決まった額を支払います。国は平均的な費用として「基準費用額」を定めており、2026年(令和8年)8月からは食費が1日1,545円に引き上げられました。滞在費の基準費用額は、ユニット型個室が2,066円、特別養護老人ホーム(特養)などの従来型個室が1,231円、同じく多床室が915円です。

基準費用額はあくまで目安で、実際の食費・滞在費は施設ごとに設定されます。入所日と退所日の食事の扱いは、契約前に確認しておくと安心です。

日常生活費など保険外でかかる費用

食費・滞在費のほかに、本人の希望で施設が用意する身の回り品と、教養娯楽にかかる費用を「その他の日常生活費」として実費で請求されることがあります。厚生労働省の通知では、ショートステイでこの名目により請求される費用はこの2種類に限られるとされています。

一方、おむつ代は介護保険の報酬に含まれるものとして扱われ、ショートステイでは別途請求できません。「日用品費」などの名目で定額を請求される場合は、何が含まれているかを重要事項説明書で確認しておきましょう。

加算によって1日の費用が変わる

介護保険サービス費には、施設の体制や提供したサービスに応じた「加算」が上乗せされます。短期入所生活介護では、送迎が片道184単位、緊急短期入所受入加算が1日90単位(原則7日まで)、医師の指示による療養食が1回8単位(1日3回まで)などです。

介護職員等処遇改善加算は、2026年(令和8年)6月の期中改定で加算率が引き上げられました。短期入所生活介護では、区分に応じて所定単位の13.6〜17.6%が上乗せされます。基本料金だけでなく、加算を含めた1日あたりの額を見積もりで確認することが大切です。

施設の種類と部屋タイプによるショートステイ費用の違い

介護保険サービス費の基本料金は、事業所のタイプと泊まる部屋によって異なります。

単独型と併設型で基本料金が異なる

短期入所生活介護の事業所には、ショートステイ専用の「単独型」と、特養などに併設されて一体的に運営される「併設型」があります。2024年(令和6年)度の介護報酬改定後の基本料金では、たとえば要介護3の従来型個室・多床室は単独型が1日787単位、併設型が745単位で、併設型のほうが低く設定されています。

多床室・従来型個室・ユニット型個室の違い

部屋タイプは、複数人で使う「多床室」、従来の介護体制をとる「従来型個室」、10人程度のグループごとに共用の居間を持つ「ユニット型個室」に分かれます。基本料金は従来型個室と多床室が同じ単位数で、ユニット型個室はそれより高く設定されています。

要介護度別の基本料金は次のとおりです(1日あたり、2024年度改定後の単位数)。

要介護度 併設型 従来型個室・多床室 併設型 ユニット型個室 単独型 従来型個室・多床室 単独型 ユニット型個室
要介護1 603単位 704単位 645単位 746単位
要介護2 672単位 772単位 715単位 815単位
要介護3 745単位 847単位 787単位 891単位
要介護4 815単位 918単位 856単位 959単位
要介護5 884単位 987単位 926単位 1,028単位

部屋タイプは滞在費にも影響し、ユニット型個室は滞在費の基準費用額も高くなります。比べるときは、基本料金と滞在費を合わせた1日あたりの総額で見ると判断を誤りにくくなります。

短期入所療養介護は医療体制のぶん単価が高め

介護老人保健施設(老健)や介護医療院などで医療・看護を受けながら過ごす短期入所療養介護は、医師や看護職員の配置を反映して基本料金が高めです。たとえば老健(基本型)の多床室は、要介護1で830単位、要介護5で1,052単位と、併設型の短期入所生活介護の多床室(603〜884単位)を上回ります。

老健などの滞在費は、多床室の基準費用額が437円(室料を徴収する場合は697円)、従来型個室が1,728円で、特養などとは金額が異なります。

地域区分で1単位の単価が変わる

介護保険サービス費は「単位数×1単位の単価」で計算され、単価は地域の人件費の差を反映して1級地から7級地、その他の地域の8区分に分かれています。短期入所生活介護の単価は、その他の地域が10円、最も高い1級地が11.10円で、短期入所療養介護は10円〜10.90円です。

たとえば併設型・多床室で要介護3の基本料金745単位は、その他の地域なら7,450円、1級地なら約8,270円となり、1割負担でも1日あたり80円ほどの差になります。

要介護度別の1日あたり費用例と負担軽減の制度

ここでは内訳をもとに1日あたりの費用例を試算し、食費・滞在費や月の自己負担を抑える公的な制度を確認します。

要介護度別の1日あたり費用例

次の表は、短期入所生活介護の併設型を1割負担・その他の地域(1単位10円)で利用した場合の1日あたりの目安です。自己負担には処遇改善加算(16.3%の区分)を含め、食費は1,545円、滞在費は特養などの基準費用額で計算しています。

要介護度 多床室の自己負担 多床室の1日合計 ユニット型個室の自己負担 ユニット型個室の1日合計
要介護1 約700円 約3,160円 約820円 約4,430円
要介護3 約870円 約3,330円 約990円 約4,600円
要介護5 約1,030円 約3,490円 約1,150円 約4,760円

この試算には送迎やその他の加算を含みません。例えば多床室で要介護3の方が7日間利用すると、送迎を除いて約2万3,000円が目安です。

負担限度額認定で食費と滞在費が軽減される

世帯全員(別世帯の配偶者を含む)が住民税非課税で、預貯金などが一定額以下の方は、市区町村に申請して「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けると、食費と滞在費が所得に応じた上限額(負担限度額)まで下がります。基準費用額との差額は介護保険から施設に支払われます。2026年(令和8年)8月からのショートステイの負担限度額は次のとおりです。

利用者負担段階 食費 多床室(特養など) 従来型個室(特養など) ユニット型個室
第1段階 300円 0円 380円 880円
第2段階 600円 430円 480円 880円
第3段階① 1,030円 430円 880円 1,370円
第3段階② 1,360円 530円 980円 1,470円
基準費用額(参考) 1,545円 915円 1,231円 2,066円

負担限度額認定の申請先は市区町村の介護保険担当窓口で、認定証には有効期間があり更新が必要です。

高額介護サービス費で1割負担分に上限がある

1か月に支払った介護保険サービス費の自己負担が上限を超えると、申請により超えた分が払い戻される「高額介護サービス費」があります。上限額は所得に応じて決まり、住民税課税世帯で課税所得380万円未満なら世帯で月44,400円、世帯全員が住民税非課税なら月24,600円などです。

ただし、ショートステイの食費・滞在費や日常生活費は高額介護サービス費の対象外です。同じ月のほかの介護保険サービスの自己負担と合算して判定されるため、市区町村からの払い戻しの案内を確認しましょう。

自費利用になるケースとショートステイの費用を抑える方法

ショートステイは使い方によって、全額自己負担(10割)になる場合があります。

区分支給限度基準額を超えた分は全額自己負担

在宅の介護保険サービスには、要介護度ごとに1か月に使える上限(区分支給限度基準額)があり、ショートステイもこの枠の中で利用します。上限は要介護1で16,765単位、要介護3で27,048単位、要介護5で36,217単位で、超えた分は全額自己負担です。

デイサービスなどで枠の多くを使っている月に、ショートステイを1週間加えると上限を超えることがあります。長めの利用を予定する月は、ほかのサービスを含めた単位数の合計をケアマネジャーに試算してもらうと、想定外の出費を防げます。

要介護認定がない場合や結果が出る前の利用

要介護認定を受けていない方は介護保険が使えないため、施設が独自に設定する料金で全額を自費で支払います。自費の料金は施設によって差があります。

認定の申請後、結果が出る前でも暫定的なケアプランで利用できる場合があります。ただし、自治体の案内では、結果が見込みと異なる、または非該当(自立)になると、その分が全額自己負担になるとされています。急ぎの利用では、見込みの要介護度をケアマネジャーや地域包括支援センターとすり合わせておきましょう。

連続30日を超えた日は保険が使えない

ショートステイを連続して30日を超えて利用すると、31日目以降は介護保険の対象外となり全額自己負担になります。

連続利用が長引くときは、費用の面からも施設入所を含めた住まいの選択肢をケアマネジャーと検討しましょう。。

ショートステイの費用を抑えるための工夫

費用を抑えるには、料金を左右する条件を見直します。多床室や従来型個室を選ぶ、併設型の事業所も候補に入れる、家族が送り迎えできる日は送迎を使わない(片道184単位の加算がかからない)といった選び方で、1日あたりの負担は変わります。

制度面では、住民税非課税世帯なら負担限度額認定の申請、同じ月の自己負担が多いときは高額介護サービス費の払い戻しを確認します。社会福祉法人などが運営する事業所では、低所得の方の利用者負担を軽減する独自の制度を実施している場合もあるため、利用前に、軽減制度の対象になるかを事業所と市区町村に確認しておくと計画を立てやすくなります。

よくある質問

Q. ショートステイは1泊2日でいくらかかりますか?

A. 併設型の多床室を1割負担・要介護3で利用した場合、介護保険の自己負担と食費・滞在費を合わせて1日あたり約3,300円が目安で、1泊2日なら2日分の約6,600円前後です。送迎を使うと加算がかかり、ユニット型個室では1日あたり約4,600円に上がります。

Q. ショートステイの食費や滞在費に介護保険は使えますか?

A. 食費と滞在費は介護保険の対象外で、施設との契約で決まった額を支払います。世帯全員が住民税非課税で預貯金などが基準以下の方は、負担限度額認定を受けると所得に応じた上限額まで軽減されます。

Q. 要介護認定を受けていなくてもショートステイは利用できますか?

A. 認定がない場合は介護保険が使えないため、施設が設定する料金で全額自費の利用になります。申請中であれば暫定的なケアプランで利用できる場合がありますが、非該当になると全額自己負担になります。

まとめ

ショートステイの費用は、介護保険サービス費の1〜3割の自己負担に、保険対象外の食費・滞在費と日常生活費を加えた合計です。基本料金は単独型か併設型か、部屋タイプ、要介護度、地域区分で変わり、併設型の多床室を1割負担で使う場合は1日3,000円台が目安です。低所得の方は負担限度額認定で食費・滞在費が下がり、区分支給限度基準額の超過や認定なしの利用、連続30日を超えた日は全額自己負担になります。

利用を考え始めたら、まず介護保険負担割合証で負担割合を確かめ、担当のケアマネジャーに利用予定日数とほかのサービスを含めた月の費用を試算してもらいましょう。住民税非課税世帯の方は、利用前に市区町村の介護保険担当窓口へ負担限度額認定を申請しておくと、初回の請求から軽減を受けやすくなります。

この記事のまとめ

  • 食費と滞在費は保険対象外で1日の費用の大半を占める
  • 併設型の多床室は単独型やユニット型個室より安く設定されている
  • 非課税世帯は負担限度額認定で食費と滞在費が下がる
  • 限度額超過や認定なし、31日目以降の利用は全額自費になる