介護現場の医療知識

2025.12.21

ターミナルケア 加算とは?算定要件・対象・注意点をわかりやすく解説

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ターミナルケア加算は、人生の最終段階にある利用者とそのご家族に対し、専門的で質の高いケアを提供する事業所を評価する制度です。訪問看護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護など、複数のサービス種別で算定が可能であり、2024年度の報酬改定でも単位数が引き上げられるなど、在宅での看取り支援を推進する重要な加算として位置づけられています。しかし、算定要件が複雑であることや、医療保険・介護保険での扱いの違い、記録や同意の取り方など、実務上の疑問や不安を抱える事業所も少なくありません。

本記事では、ターミナルケア加算の定義から具体的な算定要件、実務での注意点まで、体系的かつ実践的に解説します。

ターミナルケア加算の基本

ターミナルケア加算を正しく理解し活用するためには、まず制度の基本的な枠組みを押さえることが重要です。ここでは、加算の定義と目的、種類などについて解説します。

定義と目的

ターミナルケア加算とは、在宅で最期を迎えようとする利用者に対し、医療や介護の専門職が連携して質の高いターミナルケアを提供した場合に、事業所が算定できる報酬上の評価制度です。この加算の目的は、利用者が住み慣れた自宅や地域で安心して人生の最終段階を過ごせるよう、24時間対応可能な体制を整備し、本人や家族の意思を尊重したケアを提供することにあります。具体的には、病状の観察や疼痛管理、家族への精神的支援、急変時の対応といった専門的なケアを評価するものです。

この加算は、単に死亡時に算定できるというだけでなく、利用者が亡くなる前の一定期間にわたり、計画的かつ継続的にターミナルケアを提供していたことが前提となります。したがって、事業所には死亡診断の前から利用者の状態変化を見極め、多職種と連携しながら適切なケアを提供する高い専門性が求められます。在宅での看取りを支える重要な制度として、国も在宅医療・介護連携の推進施策の中で位置づけており、今後ますます需要が高まると考えられています。

加算の種類と医療保険との違い

ターミナルケア加算には、大きく分けて介護保険で算定される加算と医療保険で算定される加算があります。介護保険では、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護など複数のサービス種別でターミナルケア加算が設定されています。一方、医療保険では訪問看護療養費において、在宅ターミナルケア加算や看取り加算といった名称で、類似の趣旨の加算が存在します。

介護保険と医療保険では、算定できる条件や単位数、算定タイミングが異なるため、利用者がどちらの保険を使っているかを正確に把握することが不可欠です。例えば、介護保険の訪問看護では死亡日および死亡日前14日以内の期間にターミナルケア加算を算定できますが、医療保険では算定時期や要件が若干異なる場合があります。また、介護保険では介護報酬として単位数で評価されるのに対し、医療保険では診療報酬として点数で評価される点も違いの一つです。

さらに、医療保険の訪問看護を利用している場合でも、末期がんや難病など特定の疾患では介護保険ではなく医療保険が優先されるため、その場合は医療保険のターミナルケア加算を算定することになります。このように、利用者の疾患や保険種別によって適用される加算が変わるため、ケアマネジャーや訪問看護ステーションは常に最新の制度を把握し、適切な保険選択を行う必要があります。

最新の報酬改定のポイント

2024年度の介護報酬改定では、在宅での看取り支援をさらに充実させるため、ターミナルケア加算の単位数が引き上げられました。訪問看護においては、従来よりも高い評価が設定され、事業所がより積極的にターミナルケアに取り組めるよう配慮されています。この改定は、地域包括ケアシステムの推進と在宅医療の充実を目指す国の方針を反映したものです。

具体的には、訪問看護のターミナルケア加算が従来よりも高単位となり、死亡日および死亡日前14日以内に2日以上訪問看護を実施した場合に算定できる仕組みが明確化されました。また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護においても、ターミナルケア加算の算定要件が整理され、多職種連携の重要性が強調されています。さらに、記録の明確化や家族への説明・同意の取得についても、より詳細な運用が求められるようになりました。

改定のもう一つの重要なポイントは、看取り加算との関係性です。訪問看護のターミナルケア加算と、施設や居宅サービスにおける看取り加算は、それぞれ算定要件や算定主体が異なるため、重複算定にならないよう注意が必要です。2024年度改定では、こうした関連加算との整理も進み、事業所が混乱しないよう解釈通知やQ&Aが充実しています。最新の改定内容を正確に把握し、適切に運用することが、加算の取りこぼしを防ぎ、利用者への質の高いケア提供につながります。

ターミナルケア加算の算定要件と単位

ターミナルケア加算を実際に算定するためには、いくつかの明確な要件を満たす必要があります。ここでは、対象となる利用者の条件、具体的な算定要件、そして事業所が満たすべき届出や体制基準について詳しく解説します。要件を正確に理解することで、算定漏れや返戻を防ぎ、適正な報酬請求が可能となります。

対象利用者の条件

ターミナルケア加算の対象となるのは、在宅で療養しており、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがなく死期が迫っていると診断した利用者です。具体的には、末期がん、心不全や呼吸不全などの進行した慢性疾患、老衰など、終末期の状態にある方が対象となります。この診断は、主治医が行い、診療録や訪問看護指示書などに明記されることが求められます。

なお、対象者の状態は刻一刻と変化するため、訪問看護師やケアマネジャーは、主治医との密な連携を保ち、利用者の病状や家族の意向を常に把握しておくことが求められます。終末期の診断が曖昧なまま進めてしまうと、算定要件を満たさないと判断される可能性もあるため、医師の診断内容を正確に記録し、チーム内で共有することが重要です。

具体的な算定要件

ターミナルケア加算を算定するための具体的な要件は、以下の通りです。まず、事業所が24時間連絡体制を整備し、利用者や家族からの連絡に対応できる体制を確保していることが必要です。これは、深夜や休日であっても、緊急時に訪問看護師が駆けつけられる、または電話で適切な指示や助言ができる体制を指します。この体制は、届出により都道府県や市町村に認められている必要があります。

次に、利用者が死亡した日およびその前14日以内に、訪問看護を少なくとも2日以上実施していることが算定の必須条件です。この訪問は、単に定期訪問だけでなく、臨時訪問や緊急時対応も含まれます。訪問の際には、病状観察、疼痛管理、家族への精神的支援、療養環境の調整など、ターミナルケアに必要な専門的ケアを提供し、その内容を詳細に記録することが求められます。記録には、訪問日時、提供したケアの内容、利用者や家族の状態、主治医との連携状況などを明記します。

さらに、利用者本人または家族に対し、ターミナルケアの内容や目的、24時間対応の体制について事前に説明し、同意を得ていることも要件の一つです。この同意は、利用開始時や終末期の状態が明らかになった時点で取得し、書面として保存しておくことが望ましいです。また、主治医との連携も重要であり、訪問看護指示書や診療情報提供書などを通じて、医師の指示のもとでケアを提供していることを明確にする必要があります。

届出と体制基準

ターミナルケア加算を算定するためには、事業所が所在地の都道府県または市町村に対し、必要な届出を行っていることが前提となります。訪問看護ステーションの場合、24時間対応体制加算の届出を行っていることが、ターミナルケア加算算定の基盤となります。この届出には、24時間連絡体制の具体的な運用方法、担当看護師の配置、緊急時の対応手順などを明記した書類の提出が求められます。

体制基準としては、常勤の看護師が配置されており、利用者からの連絡に対して常時対応できる体制を整えていることが必要です。また、緊急時の訪問や電話対応の記録を適切に保管し、実地指導や監査の際に提示できるようにしておくことも求められます。さらに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護においては、看護職員の配置基準や連携体制についても、それぞれのサービス種別ごとに定められた要件を満たす必要があります。

届出を行った後も、体制に変更があった場合は速やかに変更届を提出することが義務付けられています。例えば、担当看護師の退職や連絡先の変更などがあった場合には、遅滞なく行政に報告し、体制が途切れないようにすることが重要です。また、定期的に内部研修を実施し、スタッフ全員がターミナルケアの意義や算定要件を理解しておくことで、現場での適切な運用が可能となります。

ターミナルケア加算の実務上の注意点

ターミナルケア加算を実際に運用する際には、様々な実務上の注意点があります。ここでは、加算が算定ができないケース、記録と証拠書類の作り方、そして家族への説明と同意の取り方について、現場で役立つ具体的なポイントを解説します。これらの注意点を押さえることで、返戻や指導のリスクを減らし、適正な算定が可能となります。

加算が算定できないケース

加算が算定できないケースとしては、利用者が病院や診療所に入院中に死亡した場合や、救急搬送後そのまま入院となり、在宅に戻ることなく死亡した場合が挙げられます。ただし、例外として、死亡日前日に在宅にいた場合や、死亡日当日に緊急搬送され数時間後に死亡した場合など、一定の条件下では算定が認められるケースもあります。この判断は複雑であるため、疑義がある場合は、保険者や都道府県に事前に確認することが推奨されます。

また、利用者が他のサービスを併用している場合にも注意が必要です。例えば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、施設サービスを利用している場合には、訪問看護のターミナルケア加算は算定できません。さらに、医療保険の訪問看護を利用している場合は、介護保険のターミナルケア加算ではなく、医療保険の加算を算定することになります。このように、利用者の状況やサービス種別によって算定の可否が変わるため、常に最新の制度を確認し、適切に判断することが求められます。

記録と証拠書類の作り方

ターミナルケア加算を算定する際には、提供したケアの内容や利用者の状態を詳細に記録し、証拠書類として保管することが不可欠です。記録には、訪問日時、提供したケアの具体的内容、利用者のバイタルサインや症状、家族への説明内容、主治医との連携状況などを漏れなく記載します。これらの記録は、レセプト請求時や実地指導、監査の際に提示を求められることがあるため、正確かつ詳細に作成することが重要です。

特に、死亡日および死亡日前14日以内の訪問記録は、ターミナルケア加算の算定根拠となるため、訪問の事実が明確にわかるよう、日時や訪問看護師の氏名、提供したケアの内容を具体的に記録しておく必要があります。また、利用者や家族の意向、療養環境の変化、主治医からの指示内容なども記録に残しておくことで、ケアの継続性や専門性を証明することができます。さらに、緊急時の電話対応や臨時訪問についても、対応時刻や内容を記録しておくことが推奨されます。

証拠書類としては、訪問看護記録書、訪問看護計画書、訪問看護指示書、家族への説明・同意書、主治医との連携記録などが必要です。これらの書類は、法令で定められた保存期間(通常5年間)にわたり適切に保管し、必要に応じて速やかに提示できるよう整理しておくことが求められます。記録の作成にあたっては、電子カルテや訪問看護システムを活用することで、効率的かつ正確な記録管理が可能となります。

家族説明と同意の取り方

ターミナルケア加算を算定するためには、利用者本人または家族に対し、ターミナルケアの内容や目的、24時間対応の体制について事前に説明し、同意を得ることが必要です。この説明と同意のプロセスは、単に形式的に書類を取得するだけでなく、利用者や家族が安心して在宅での看取りを選択できるよう、丁寧に行うことが重要です。

説明の際には、ターミナルケアが具体的にどのようなケアを提供するのか、緊急時にはどのように対応するのか、費用負担はどの程度なのかといった点を、わかりやすく伝えることが求められます。また、利用者や家族の不安や疑問に対しても、丁寧に答え、納得が得られるまで時間をかけることが大切です。説明は、利用開始時や終末期の状態が明らかになった時点など、複数回にわたり行うことが望ましく、その都度、説明内容と同意を記録として残しておきます。

同意書の作成にあたっては、利用者本人の署名が難しい場合には、家族代表者の署名でも構いませんが、利用者本人の意思を可能な限り確認し、記録に残すことが推奨されます。また、同意書には、ターミナルケアの提供内容、24時間対応体制の説明、費用負担、個人情報の取り扱いなどを明記し、利用者・家族・事業所の三者で共有できる形にしておくことが重要です。さらに、利用者や家族の意向が変化した場合には、再度説明と同意のプロセスを行い、記録を更新することも必要です。

ターミナルケア加算と関連加算の活用法

ターミナルケア加算は、他の加算と併用することで、より充実したケアの提供と適切な報酬評価を受けることが可能です。ここでは、よく併用される加算の一覧、併用時の注意点と重複禁止、そして訪問看護以外の関連加算との違いについて解説します。関連加算を正しく理解し活用することで、事業所の経営安定と利用者へのサービス向上の両立を図ることができます。

よく併用される加算

ターミナルケア加算と併用されることが多い加算としては、まず24時間対応体制加算が挙げられます。これは、訪問看護ステーションが24時間連絡体制を整備し、利用者からの緊急連絡に対応できる体制を評価する加算であり、ターミナルケア加算の前提となる体制整備に関連しています。また、緊急時訪問看護加算は、利用者の状態が急変した際に緊急訪問を行った場合に算定できる加算で、終末期の利用者では頻繁に必要となるケアです。

さらに、特別管理加算は、医療処置が必要な利用者に対して専門的なケアを提供した場合に算定できる加算であり、ターミナル期の利用者で疼痛管理や呼吸管理が必要な場合に併用されることが多いです。また、看護体制強化加算は、訪問看護ステーションの看護職員配置や研修体制を評価する加算で、質の高いターミナルケアを提供するための基盤整備に寄与します。これらの加算は、それぞれ算定要件が異なるため、事業所は自施設の体制や提供するケアの内容に応じて、適切に組み合わせて算定することが求められます。

その他にも、定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、看護職員配置加算やサービス提供体制強化加算などが併用可能です。また、看護小規模多機能型居宅介護では、看護体制加算や夜間看護体制加算などが関連します。これらの加算は、それぞれのサービス種別ごとに設定されているため、事業所は自らのサービス内容と照らし合わせて、最適な加算の組み合わせを検討することが重要です。

併用時の注意点と重複禁止

複数の加算を併用する際には、重複算定の禁止に注意する必要があります。例えば、訪問看護のターミナルケア加算と、施設における看取り加算は、算定主体が異なるため重複しませんが、同一事業所内で複数の加算を同時に算定する場合には、それぞれの算定要件を満たしているか慎重に確認することが求められます。また、医療保険と介護保険の両方でターミナルケア加算が設定されている場合、利用者がどちらの保険を利用しているかによって算定する加算が変わるため、保険種別の確認が不可欠です。

特に注意が必要なのは、訪問看護のターミナルケア加算と、定期巡回・随時対応型訪問介護看護のターミナルケア加算を同時に算定できるかという点です。これらは、算定主体となるサービス種別が異なるため、利用者が両方のサービスを利用している場合でも、それぞれの要件を満たしていれば算定可能です。ただし、実際の運用では、ケアマネジャーが利用者のサービス利用状況を正確に把握し、各事業所間で情報共有を行うことが重要です。

また、緊急時訪問看護加算や特別管理加算など、訪問時に算定する加算については、訪問記録に基づいて適切に算定する必要があります。記録が不十分な場合や、算定要件を満たしていない場合には、返戻や指導の対象となる可能性があるため、常に最新の解釈通知やQ&Aを確認し、正確な運用を心がけることが求められます。さらに、加算の算定に際しては、レセプトチェックシステムや請求ソフトを活用し、重複算定や算定漏れを防ぐことも有効です。

訪問看護以外の関連加算との違い

ターミナルケア加算は、訪問看護だけでなく、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護など、複数のサービス種別で設定されていますが、それぞれの加算には算定要件や単位数に違いがあります。例えば、定期巡回・随時対応型訪問介護看護のターミナルケア加算は、訪問看護と訪問介護が一体的に提供される中で、終末期の利用者に対して包括的なケアを行った場合に算定されます。

看護小規模多機能型居宅介護では、通いや宿泊、訪問介護、訪問看護を組み合わせて柔軟にサービスを提供する中で、ターミナルケアを実施した場合に加算が算定されます。これらのサービスでは、訪問看護単独の場合と比較して、多職種連携や24時間対応の体制がより強化されているため、算定要件もそれに応じた内容となっています。また、単位数についても、サービス種別ごとに異なるため、事業所は自らのサービス内容に応じた加算を正確に理解し、算定する必要があります。

さらに、看取り介護加算は、特別養護老人ホームやグループホームなど、施設系サービスで終末期の利用者に対してケアを提供した場合に算定される加算であり、訪問看護のターミナルケア加算とは算定主体やケアの提供場所が異なります。看取り介護加算は、施設内で医師や看護師、介護職員が連携して看取りを行った場合に算定されるものであり、在宅でのターミナルケア加算とは趣旨が異なるため、混同しないよう注意が必要です。このように、ターミナルケアに関連する加算は多岐にわたるため、事業所は自らのサービス内容と利用者の状況を正確に把握し、適切な加算を選択することが求められます。

ターミナルケア加算のレセプト請求と監査対策

ターミナルケア加算を適切に算定した後は、正確なレセプト請求を行い、監査や実地指導に備えることが重要です。ここでは、請求時の記載ポイント、レセプトチェックリスト、そして記録保存期間と監査対応について、実務で役立つ具体的な情報を解説します。これらの対策を講じることで、返戻や指摘を受けるリスクを最小限に抑え、安定した事業運営を実現できます。

請求時の記載ポイント

ターミナルケア加算をレセプトに記載する際には、算定根拠となる情報を正確に記入することが求められます。まず、加算コードと単位数を正しく入力し、算定対象となる期間(死亡日および死亡日前14日以内)を明記します。また、訪問実績として、訪問日時や訪問回数を記録し、加算算定の根拠を明確にしておくことが重要です。

レセプトの摘要欄には、ターミナルケア加算の算定理由や、提供したケアの内容、利用者の状態などを簡潔に記載することが推奨されます。これにより、審査機関が算定の妥当性を判断する際の参考となり、返戻や照会を避けることができます。また、主治医の指示や家族の同意が得られていることについても、必要に応じて摘要欄に記載することで、加算の適正性を示すことができます。

さらに、電子請求システムを利用している場合には、入力ミスや算定漏れを防ぐため、チェック機能を活用することが有効です。特に、複数の加算を併用している場合には、重複算定や算定要件の不整合が生じやすいため、請求前に複数のスタッフでダブルチェックを行うことが推奨されます。また、請求後に返戻があった場合には、その原因を分析し、再発防止のための対策を講じることが重要です。

レセプトチェックリスト

ターミナルケア加算のレセプト請求を適正に行うためには、請求前にチェックリストを用いて確認作業を行うことが効果的です。以下のチェックリストを参考に、算定要件を満たしているか、記録が整っているかを確認しましょう。これにより、返戻や指導のリスクを大幅に減らすことができます。

確認項目 チェック内容 確認方法
対象利用者の確認 終末期の診断があり、在宅で死亡した利用者か 診療録、訪問看護指示書
訪問実績の確認 死亡日および前14日以内に2日以上訪問しているか 訪問記録、実績記録表
24時間体制の確認 24時間対応体制の届出があり、実際に対応可能か 届出書類、連絡体制表
同意書の確認 利用者・家族の同意が書面で得られているか 同意書、説明記録
記録の完備 訪問看護記録、計画書、指示書が揃っているか 記録書類一式
加算コードの確認 正しい加算コードと単位数が入力されているか レセプト画面、請求ソフト
重複算定の確認 他の加算と重複算定していないか 算定一覧、併用可否表

このチェックリストを請求前に必ず実施し、全ての項目が確認できた場合にのみレセプト請求を行うことで、適正な算定と請求が可能となります。また、チェックリストは定期的に見直し、制度改正や運用変更に応じて更新することも重要です。さらに、チェック結果を記録として残しておくことで、実地指導や監査の際に、事業所が適正な運用を行っていることを証明する資料として活用できます。

記録保存期間と監査対応

ターミナルケア加算に関する記録は、介護保険法および関連法令により、一定期間の保存が義務付けられています。通常、訪問看護記録や訪問看護計画書、訪問看護指示書、同意書、連携記録などの書類は、サービス提供終了後5年間保存することが求められます。この保存期間は、監査や実地指導の際に記録の提示を求められる可能性があるため、厳守する必要があります。

記録の保存方法としては、紙媒体だけでなく、電子データとしての保存も認められていますが、改ざん防止やバックアップ体制を整備し、必要時に速やかに提示できるようにしておくことが重要です。また、個人情報保護の観点から、記録の保管場所や閲覧権限を適切に管理し、漏洩や紛失のリスクを最小限に抑えることも求められます。さらに、記録の保存期間が経過した後は、個人情報保護法に基づき適切に廃棄することも重要です。

監査対応については、日頃から記録を整理し、算定根拠となる書類を速やかに提示できる体制を整えておくことが最善の対策です。監査や実地指導の際には、行政担当者から記録の提示や説明を求められることがありますが、事前に準備しておくことで、スムーズに対応できます。また、指摘事項があった場合には、速やかに改善策を講じ、再発防止に努めることが求められます。さらに、定期的に内部監査を実施し、記録の不備や運用の問題点を早期に発見し改善することで、外部監査に対する備えとすることも有効です。

まとめ

ターミナルケア加算は、在宅で最期を迎える利用者とその家族を支える重要な制度であり、24時間対応体制の整備や専門的なケアの提供を評価するものです。算定にあたっては、対象利用者の条件、訪問実績、家族の同意、記録の整備など、複数の要件を満たす必要があり、医療保険と介護保険の違いや、関連加算との併用にも注意が求められます。2024年度の報酬改定では単位数が引き上げられ、在宅看取りの推進が一層強化されています。

実務では、正確な記録作成と証拠書類の保管、家族への丁寧な説明と同意取得、そしてレセプト請求時のチェック体制が不可欠です。また、監査対応に備えて、記録の保存期間を守り、常に最新の制度を把握しておくことが重要です。ターミナルケア加算を適切に運用することで、利用者への質の高いケア提供と事業所の安定経営の両立が可能となります。本記事が、現場で活躍される皆様の実務に役立ち、在宅での看取り支援の充実に貢献できれば幸いです。