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2026.01.07

リバースモーゲージ=悲惨にならないために:契約前に家族でチェックしたい3つの落とし穴

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「リバースモーゲージを利用したら悲惨な結果になった」という声を耳にしたことはありませんか。自宅を担保にして老後資金を確保できるこの制度は、高齢化社会において注目を集めています。しかし、金利上昇や不動産価値の下落、相続人とのトラブルなど、事前に知っておくべきリスクも少なくありません。特に介護費用や医療費の捻出を考えているご家族にとって、契約前の正しい理解は必須といえるでしょう。この記事では、リバースモーゲージで「悲惨」な状況に陥らないために、契約前に家族で確認すべき落とし穴と具体的な対策をわかりやすく解説します。

リバースモーゲージは悲惨?

リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受け、契約者が亡くなった後に物件を売却して返済する仕組みです。一見すると便利な老後資金の調達方法に思えますが、いくつかのリスクを見落とすと「悲惨」な結果を招くことがあります。

ここでは、リバースモーゲージで起こりうる6つのリスクについて詳しく解説します。事前にこれらのリスクを理解しておくことで、契約前に適切な判断ができるようになるでしょう。

金利上昇で負担が増えるかも

リバースモーゲージの多くは変動金利型を採用しているため、市場金利が上昇すると利息負担が一気に膨らむ可能性があります。契約時の金利が低くても、10年後、20年後には大幅に上昇しているかもしれません。

利息は借入残高に対して発生するため、長期間利用するほど累積利息は増加します。例えば、当初の金利が年2%だったものが年4%に上昇した場合、支払う利息は単純計算で2倍になります。

特に存命中は元金返済をしないタイプでは、利息が元金に上乗せされていく仕組みもあり、最終的な返済額が想定を大きく超えることも珍しくありません。

不動産価値下落で一括返済が生じるかも

担保となる自宅の評価額が下落すると、融資限度額を下回り、追加担保や一括返済を求められるケースがあります。不動産市場は景気や地域の人口動態によって大きく変動するため、将来の価値を正確に予測することは困難です。

特に地方の物件や築年数が古い建物は、時間の経過とともに評価額が下がりやすい傾向があります。契約時には物件評価額の50~70%程度が融資限度額の目安となりますが、それでも価値下落リスクは完全には回避できません。

物件売却時に借入残高を下回った場合、いわゆる「オーバーローン」の状態となり、相続人がその差額を負担しなければならないこともあります。

長期利用で借入額が膨らみ自宅を失うかも

リバースモーゲージは長期利用リスクと密接に関係しており、予想以上に長期利用すると借入額が膨らんで自宅を失う可能性が高まります。

契約満了時にまだ存命の場合、一括返済を求められることがあります。返済資金がなければ自宅を売却せざるを得ず、住み慣れた家を離れなければなりません。

特に年金型で毎月受け取っている場合は、借入総額が時間とともに増加し続けます。

相続人とのトラブルや債務継承の問題があるかも

リバースモーゲージの契約には推定相続人の同意が必要な場合が多く、この合意形成が不十分だと深刻な家族トラブルに発展します。自宅は相続財産の中でも大きな比重を占めるため、子どもたちの間で意見が分かれることは珍しくありません。

契約者の死後、相続人には選択肢が与えられます。物件を売却して返済するか、自己資金で残債を返済して物件を維持するかです。しかし、この選択をめぐって相続人同士が対立することも多いのです。

また、配偶者が契約者より長生きした場合、住み続けられる保証があるかどうかも確認が必要です。契約内容によっては、配偶者が突然住居を失うリスクもあります。

契約や審査条件の落とし穴にハマるかも

リバースモーゲージの審査は意外と厳しく、物件の立地や築年数、申込者の年齢など、多くの条件をクリアする必要があります。せっかく検討を始めても、審査に通らないケースは少なくありません。

以下のような条件が審査のポイントとなります。

  • 物件が首都圏や主要都市にあること
  • 一戸建ての場合は土地の評価が重視される
  • マンションは取り扱い不可の金融機関もある
  • 申込者の年齢制限(多くは60歳以上、上限は80歳前後)
  • 推定相続人全員の同意書が必要

これらの条件を満たさない場合、利用そのものができません。また、契約後も物件の管理状態によっては融資の打ち切りがあり得ることも覚えておきましょう。

費用面のリスクを見逃すかも

リバースモーゲージには利息以外にも様々な費用がかかり、これらを見落とすと想定外の出費に苦しむことになります。契約時の事務手数料、不動産鑑定費用、抵当権設定費用などが初期費用として発生します。

さらに、契約期間中も固定資産税や火災保険料、修繕費用などの維持費は自己負担です。これらの費用を借入金から支払っていると、手元に残る資金は思ったより少なくなります。

以下の表は、リバースモーゲージにかかる主な費用をまとめたものです。

費用項目 発生時期 概算金額の目安
事務手数料 契約時 数万円~数十万円
不動産鑑定費用 契約時 10万円~30万円程度
抵当権設定費用 契約時 数万円~十数万円
固定資産税 毎年 物件により異なる
火災保険料 毎年 数万円~十数万円
修繕費用 随時 物件の状態により異なる

これらの費用を事前に把握し、資金計画に組み込んでおくことが重要です。

リバースモーゲージの特徴

リバースモーゲージにはリスクがある一方で、上手に活用すれば老後の生活を支える有効な手段にもなります。ここでは、この制度の特徴とメリットについて整理し、どのような方に向いているかを解説します。

制度の仕組みを正しく理解することで、自分に合った選択ができるようになるでしょう。

自宅に住み続けながら資金を得られる点

リバースモーゲージの最大の特徴は、自宅を売却せずに住み続けながら資金を調達できることです。住み慣れた家を離れたくないという高齢者の気持ちに寄り添った制度設計といえます。

通常の不動産売却では、資金を得るためには家を明け渡さなければなりません。しかしリバースモーゲージでは、担保として提供するだけで所有権は契約者に残ります。

介護が必要になった場合でも、在宅介護を続けながら必要な資金を確保できる点は大きなメリットです。ただし、契約満了時や死亡時には物件の処分が必要になることを忘れてはいけません。

受け取り方法別のメリットと選び方

リバースモーゲージの資金受け取り方法には主に3つのタイプがあり、それぞれの生活スタイルに合わせて選ぶことができます。自分のニーズに合った方法を選ぶことで、より効果的に活用できます。

以下の表で各タイプの特徴を比較してみましょう。

受取方法 特徴 向いている人
一括型 契約時にまとめて受け取る リフォームや借金返済など大きな支出がある人
年金型 毎月一定額を受け取る 生活費の補填として定期的な収入が欲しい人
都度型 必要な時に必要な額を引き出す 急な出費に備えたい人、計画的に使いたい人

一括型は利息が早期から発生するため総支払額が増えやすく、年金型は長生きするほど借入総額が増加します。都度型は利息を抑えやすい反面、計画性が求められます。

毎月負担が少ないという特徴

リバースモーゲージは存命中の返済負担が軽いことが特徴で、毎月の支出を抑えながら老後資金を確保できます。多くの契約では、存命中は利息のみの支払い、または元金・利息ともに後払いの仕組みになっています。

年金収入だけでは生活が厳しい方にとって、毎月の返済に追われないことは大きな安心感につながります。リースバックと比較しても、毎月の家賃負担がない分、月々の支出を抑えられる傾向があります。

ただし、利息が後払いの場合は最終的な返済額が膨らむため、トータルでの負担を考慮した判断が必要です。

リバースモーゲージに向いている人

リバースモーゲージは、特定の条件を満たす方にとっては非常に有効な老後資金対策となります。向いている方の特徴を以下にまとめました。

  • 自宅に住み続けたいという強い希望がある方
  • 不動産以外にまとまった資産がない方
  • 子どもがいない、または相続人が自宅を必要としていない方
  • 評価額の高い物件を所有している方
  • 配偶者と死後の計画について話し合いができている方

特に相続人との合意が取れている場合は、死後のトラブルを避けられるため安心して利用できます。

リバースモーゲージに向かない人

一方で、リバースモーゲージが適さない方もいます。以下に該当する場合は、他の選択肢を検討した方がよいでしょう。

  • 自宅を子どもに相続させたいと考えている方
  • 物件の評価額が低い、または対象外のエリアにある方
  • 推定相続人の同意が得られない方
  • 将来的に介護施設への入所を考えている方
  • 配偶者との年齢差が大きく、長期間の居住保証が必要な方

特に相続人との関係が良好でない場合は、契約そのものが困難になるだけでなく、死後にトラブルが発生するリスクが高まります。

悲惨な結果を防ぐ対策

リバースモーゲージのリスクを理解した上で、それでも利用を検討する場合には、事前の準備と対策が欠かせません。ここでは、悲惨な結果を避けるための具体的な方法をご紹介します。

家族で話し合い、専門家のアドバイスも受けながら、慎重に判断を進めていきましょう。

契約前に押さえるべきチェック項目

リバースモーゲージを契約する前に、必ず確認すべき重要なチェック項目があります。これらを一つひとつ確認することで、想定外のトラブルを防ぐことができます。

以下のチェックリストを参考にしてください。

  1. 金利タイプは固定か変動か、変動の場合の上限設定はあるか
  2. 融資限度額と物件評価額の関係を理解しているか
  3. 契約期間と満了時の取り扱いを確認したか
  4. 配偶者の居住権はどのように保護されるか
  5. オーバーローン時の負担はどうなるか
  6. 途中解約の条件と違約金の有無
  7. 物件の維持管理に関する義務と費用

これらの項目について、金融機関の担当者から丁寧な説明を受け、不明点があれば納得するまで質問しましょう。

家族と合意して相続トラブルを防ぐ方法

リバースモーゲージで最も深刻なトラブルの一つが相続人との対立であり、これを防ぐには契約前の家族会議が不可欠です。推定相続人全員に制度の仕組みとリスクを説明し、合意を得ておくことが重要です。

話し合いでは以下の点を明確にしておきましょう。

  • なぜリバースモーゲージを利用するのか、その目的と必要性
  • 契約者の死後、物件をどうするかの方針
  • 残債が物件価値を上回った場合の対応
  • 配偶者が先に亡くなった場合の取り扱い

可能であれば、話し合いの内容を書面に残しておくと、後々のトラブル防止に役立ちます。必要に応じて弁護士や司法書士など専門家の立ち会いを検討してもよいでしょう。

代替案と併用でリスクを減らす方法

リバースモーゲージだけに頼るのではなく、他の選択肢と比較検討することでリスクを軽減できます。代表的な代替手段として、リースバックがあります。

以下の表でリバースモーゲージとリースバックを比較してみましょう。

比較項目 リバースモーゲージ リースバック
所有権 存命中は保持 売却時に譲渡
資金調達 融資(借入) 売却代金(一括)
毎月の支払い 利息のみまたは後払い 家賃
金利リスク あり(変動金利の場合) なし(家賃は固定の場合が多い)
相続への影響 大きい 売却時点で完結

それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った選択をすることが大切です。複数の金融機関や不動産会社から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

金利上昇と長期利用リスクへの具体的備え

金利上昇と長期利用リスクは事前に備えることで影響を最小限に抑えることができます。具体的な対策をいくつかご紹介します。

まず、金利上昇への備えとしては以下の方法があります。

  • 固定金利型の商品を選ぶ(選択肢は限られますが検討の価値あり)
  • 変動金利の場合、上限金利の設定があるか確認する
  • 都度型を選び、必要最小限の借入に抑える
  • 将来の金利上昇を見込んだ余裕のある資金計画を立てる

長期利用リスクへの備えとしては、契約満了時の一括返済に備えた資金を別途確保しておくこと、または契約期間が終身型の商品を選ぶことが考えられます。

まとめ

リバースモーゲージは、自宅に住み続けながら老後資金を確保できる有効な手段ですが、金利上昇、不動産価値下落、長期利用リスクという3つの大きな落とし穴があります。これらを理解せずに契約すると、悲惨な結果を招く可能性があります。

契約前には、金融機関からの説明を十分に受け、家族全員で話し合いを行い、推定相続人の同意を得ることが重要です。また、リースバックなど他の選択肢との比較検討も忘れずに行いましょう。

老後の安心した生活のために、この記事でご紹介したチェック項目と対策を参考に、慎重に判断を進めてください。不明点があれば、金融機関や専門家に相談することをおすすめします。