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2026.01.09

リバースモーゲージのデメリットとは?金利上昇・不動産価値下落・相続リスクを丁寧に解説

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リバースモーゲージは、自宅を担保に老後資金を借りられる便利な制度として注目されています。しかし、金利上昇による利息膨張や不動産価値の下落による担保割れ、さらには相続人への負担など、見落としがちなデメリットも多く存在します。この記事では、リバースモーゲージを検討している方やそのご家族に向けて、契約前に必ず知っておきたいリスクと注意点を丁寧に解説します。メリットだけでなくデメリットもしっかり理解することで、後悔のない選択ができるようになります。

リバースモーゲージの基本と注意点・デメリット

リバースモーゲージは高齢者の老後資金調達手段として広く知られていますが、その仕組みを正しく理解していないと思わぬトラブルに発展することがあります。ここでは基本的な仕組みから、契約前に必ず確認しておきたいデメリットまで詳しく説明します。

特に金利上昇や不動産価値下落、相続リスクなど、長期にわたる契約だからこそ生じる問題点を把握することが重要です。家族で十分に話し合い、専門家にも相談しながら慎重に検討しましょう。

リバースモーゲージとは?

リバースモーゲージとは、高齢者が自宅を担保にして金融機関から融資を受け、存命中は元本を返済せず、死亡時に担保不動産を売却して一括返済する制度です。通常の住宅ローンとは逆に、借入残高が時間とともに増えていくため「逆抵当」とも呼ばれています。

主な借入方式には、一括でまとめて受け取る「一括型」、毎月一定額を年金のように受け取る「年金型」、必要なときに必要な額だけ引き出す「都度融資型」があります。どの方式を選ぶかによって、資金の使い方や利息の負担が変わってきます。

この制度の大きな特徴は、自宅に住み続けながら資金を得られることです。しかし、担保評価額の50〜70%程度しか借りられないことや、変動金利が主流であることなど、事前に理解しておくべき点が多くあります。

借入額が期待より少なくなる場合がある

リバースモーゲージの借入限度額は、自宅の評価額そのままではなく、安全マージンを考慮して設定されるため、期待より少なくなることがあります。一般的には先述の通り担保評価額の50〜70%程度が上限となります。

たとえば、自宅の評価額が3,000万円だったとしても、実際に借りられるのは1,500万円〜2,100万円程度ということになります。これは金融機関が不動産価値の下落リスクに備えているためです。

また、建物の築年数や立地条件、土地の形状なども評価に影響します。特に地方や郊外の物件は評価額が低くなりやすく、思ったほどの資金を得られないケースも少なくありません。

金利上昇で支払額が増えるリスク

リバースモーゲージの多くは変動金利型であり、市場金利が上昇すると利息負担が急増するリスクがあります。存命中は利息のみを支払うプランが多いため、金利上昇は直接的に毎月の支払額に影響します。

たとえば、借入残高が1,000万円で金利が年2%から年4%に上昇した場合、年間の利息は20万円から40万円へと倍増します。年金収入に頼る高齢者にとって、この負担増加は生活を圧迫する大きな要因となります。

さらに、金利上昇によって借入残高が担保評価額を超えてしまう「担保割れ」が発生する可能性もあります。この場合、追加返済を求められたり、契約条件の見直しを迫られたりすることがあります。

担保評価の下落で返済を求められるリスク

不動産価値は経年劣化や市場環境の変化によって下落することがあり、担保評価額が大きく下がると追加返済を求められる可能性があります。特に建物部分の価値は年々減少していくため、長期契約になるほどこのリスクは高まります。

地価の下落、周辺環境の変化、災害リスクの見直しなど、様々な要因で担保評価額は変動します。契約時に十分な余裕があったとしても、10年後、20年後も同じ状況が続くとは限りません。

万が一、借入残高が担保評価額を上回る「担保割れ」が発生した場合、金融機関から融資限度額の引き下げや追加担保の差し入れ、一部返済などを求められることがあります。これらの条件に対応できないと、最悪の場合は契約解除となる可能性もあります。

相続人への影響と同意の必要性

リバースモーゲージを利用すると、契約者の死亡後に自宅が売却されるため、相続人は不動産を相続できなくなる可能性が高くなります。このため、多くの金融機関では契約時に推定相続人の同意を求めています。

相続人の立場からすると、親が住んでいた実家を手放すことへの抵抗感や、将来受け取れるはずだった遺産が減少することへの不満が生じやすくなります。家族間で十分な話し合いがないまま契約してしまうと、後々トラブルになるケースが少なくありません。

また、売却時に借入残高が売却価格を上回った場合、その差額をどうするかという問題も生じます。相続人が不足分を負担するのか、相続放棄をするのかなど、事前に方針を決めておくことが重要です。

配偶者や同居者が住み続けられない可能性

リバースモーゲージの契約者が亡くなった後、配偶者や同居家族がそのまま住み続けられるかどうかは契約内容によって異なります。契約によっては、主債務者の死亡と同時に退去を求められるケースもあります。

近年は配偶者の継続居住権を認める商品も増えていますが、条件は金融機関ごとに異なります。配偶者が連帯債務者になる必要がある場合や、年齢制限が設けられている場合など、細かい条件を確認することが大切です。

特に高齢の配偶者が残された場合、住み慣れた自宅を離れることは精神的にも身体的にも大きな負担となります。契約前に「もしものとき」のシナリオをしっかり想定しておきましょう。

資金使途の制限や使い勝手の問題

リバースモーゲージで借りた資金は、商品によって使い道が制限されている場合があります。生活費や医療費、介護費用には使えても、投資や事業資金、他の借入の返済には使えないといった制限が設けられていることがあります。

また、社会福祉協議会が提供する「不動産担保型生活資金」は低所得者向けの制度であり、収入要件や使途の制限がより厳格になっています。民間の金融機関が提供する商品と比べて、利用できる人が限られます。

さらに、都度融資型を選んだ場合でも、引き出しの手続きに時間がかかったり、最低引き出し額が設定されていたりと、思ったほど自由に使えないこともあります。急な出費に対応できない可能性も考慮しておく必要があります。

マンションや共有持分が利用対象外になること

リバースモーゲージは主に一戸建てを対象としており、マンションや共有持分の不動産では利用できない、または条件が厳しくなることがあります。これは、土地の評価額を重視する融資構造に起因しています。

マンションの場合、建物部分の価値は経年劣化で大きく減少し、土地は区分所有となるため単独での売却が難しくなります。そのため、取り扱い自体を行っていない金融機関も多く、取り扱っていても融資限度額が低くなりがちです。

共有持分の場合も同様で、担保としての価値が評価しにくいため対象外となることがほとんどです。お住まいの不動産がリバースモーゲージの対象になるかどうか、まずは金融機関に確認することをお勧めします。

以下の表で、リバースモーゲージのデメリットを整理します。

デメリットの種類 具体的な内容 影響を受ける人
金利上昇リスク 変動金利により利息負担が増加 契約者本人
不動産価値下落リスク 担保割れで追加返済の可能性 契約者本人・相続人
相続リスク 自宅売却により遺産が減少 相続人
配偶者リスク 契約者死亡後の居住継続が不確実 配偶者・同居家族
長期利用リスク 融資限度額に達し資金が枯渇 契約者本人

上記の表のとおり、リバースモーゲージのデメリットは契約者本人だけでなく、配偶者や相続人にも大きな影響を与える可能性があります。契約前に家族全員で十分に話し合うことが重要です。

リバースモーゲージの主なリスク別の対策

リバースモーゲージにはさまざまなデメリットがありますが、事前に対策を講じることでリスクを軽減することができます。ここでは、長期利用リスク、評価額下落リスク、金利リスク、相続リスクそれぞれについて、具体的な備え方を解説します。

また、リバースモーゲージ以外の資金調達方法との比較も行い、ご自身の状況に最適な選択肢を見つけるためのヒントをお伝えします。

長期利用リスクへの備え方

長期利用リスクとは、想定以上に長期利用することで融資限度額に達してしまい、資金が枯渇してしまうリスクのことです。リバースモーゲージは担保評価額の範囲内でしか借りられないため、長期間の利用では資金不足に陥る可能性があります。

このリスクに備えるためには、まず余裕を持った資金計画を立てることが重要です。必要最小限の借入にとどめ、他の収入源や貯蓄と組み合わせて生活費を確保する方法を検討しましょう。

また、年金型で毎月一定額を受け取る方式を選ぶと、計画的に資金を使いやすくなります。一括で受け取ると使いすぎてしまうリスクがあるため、ご自身の性格や生活スタイルに合った借入方式を選ぶことが大切です。

評価額下落や市場変動に備える方法

不動産価値の下落に備えるためには、定期的な物件のメンテナンスと、余裕を持った借入計画が重要です。建物の状態を良好に保つことで、担保評価額の急激な下落を防ぐことができます。

具体的には、屋根や外壁の修繕、設備の更新などを計画的に行うことで、建物の資産価値を維持できます。ただし、修繕費用は自己負担となるため、この費用も含めた資金計画を立てる必要があります。

また、借入額を担保評価額の上限ギリギリまで設定するのではなく、余裕を持った金額に抑えることで、万が一の価値下落にも対応しやすくなります。ノンリコース型の商品を選べば、担保割れが発生しても追加返済を求められないため、より安心です。

金利リスクを抑える具体的手段

金利リスクを抑えるためには、固定金利型の商品を選ぶか、金利上昇時の支払い増加分を見込んだ資金計画を立てることが有効です。変動金利型が主流ですが、一部の金融機関では固定金利型や金利上限付きの商品も提供されています。

また、借入額をできるだけ抑えることで、金利上昇時の利息負担を軽減できます。必要な資金だけを借り入れ、余裕がある時期には繰り上げ返済を行うことも一つの方法です。

金利動向を定期的にチェックし、大幅な上昇が予想される場合は早めに対策を講じることも大切です。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、金利変動シナリオ別のシミュレーションを行っておくと安心です。

相続対策と家族との合意形成の進め方

相続トラブルを防ぐためには、契約前に推定相続人全員と十分に話し合い、書面で同意を得ておくことが不可欠です。家族間の認識の違いが後々の紛争につながることを防ぐためです。

話し合いの際には、なぜリバースモーゲージを利用したいのか、借りた資金をどのように使う予定なのか、死亡後の自宅はどうなるのかなど、具体的な内容を丁寧に説明しましょう。相続人の不安や疑問にも真摯に向き合うことが大切です。

また、遺言書を作成して資産配分の方針を明確にしておくことも有効です。不動産以外の資産がある場合は、それを相続人に残すなど、バランスの取れた相続計画を立てることで、家族の理解を得やすくなります。

以下は、相続対策として検討すべきポイントをまとめたリストです。

  • 契約前に推定相続人全員への説明と同意取得を行う
  • リバースモーゲージ利用の目的と資金使途を明確にする
  • 遺言書を作成し、資産配分の方針を明文化する
  • ノンリコース型を選び、相続人への債務承継を防ぐ
  • 定期的に家族で契約内容や資産状況を確認する機会を設ける

上記のポイントを押さえることで、相続人との関係を良好に保ちながらリバースモーゲージを活用することができます。

リバースモーゲージ以外の資金調達との比較

リバースモーゲージが最適な選択肢かどうかを判断するためには、リースバックや通常の住宅ローンなど、他の資金調達方法と比較検討することが重要です。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った方法を選びましょう。

以下の表で、主な資金調達方法を比較します。

項目 リバースモーゲージ リースバック 通常の住宅ローン
仕組み 自宅担保で借入、死亡後に売却返済 自宅を売却し、賃貸として居住継続 購入時に借入、毎月元本と利息を返済
所有権 契約者が保持 買主に移転 契約者が保持
毎月の支払い 利息のみまたはなし 家賃 元本と利息
相続への影響 売却により不動産は相続できない すでに売却済みのため影響なし ローン残債と不動産を相続
向いている人 自宅に住み続けたい高齢者 即座に現金が必要な人 毎月返済能力がある人

リースバックは売却時点でまとまった現金を得られますが、その後は家賃を払い続ける必要があります。また、買い戻し特約をつけない限り、将来的に自宅を取り戻すことはできません。

リバースモーゲージは自宅の所有権を維持したまま資金を得られる点がメリットですが、デメリットも多いため、ご自身のライフプランや家族の状況に合わせて慎重に選択することが大切です。どの方法が最適か判断が難しい場合は、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーなどの専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

リバースモーゲージは、自宅に住み続けながら老後資金を確保できる便利な制度ですが、金利上昇による利息膨張、不動産価値下落による担保割れ、相続人への負担など、さまざまなデメリットがあります。変動金利が主流のため長期的な金利リスクを負うことになり、長生きすればするほど融資限度額に達するリスクも高まります。

契約前には推定相続人との十分な話し合いが不可欠であり、配偶者の継続居住権についても事前に確認しておく必要があります。リースバックなど他の資金調達方法との比較も行い、ご自身の状況に最適な選択肢を見極めることが重要です。

リバースモーゲージの利用を検討される際は、メリットだけでなくデメリットもしっかり理解し、専門家への相談も含めて慎重に判断されることをお勧めします。ご家族の将来を守るためにも、十分な情報収集と話し合いを行ってください。