はじめての介護

2026.01.13

親が退院後どうする?在宅介護と施設利用の判断ポイント・準備すべき介護用品を解説

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入院していた親の退院が決まると、「自宅に戻れるのか」「施設に入居したほうがよいか」と迷う方が多くいらっしゃいます。「とりあえず退院するだけでいい」と軽く判断してしまうと、今後の本人・家族の生活に大きな影響を及ぼす可能性があるのです。そのため、本人の状態・家族の介護力などの状況を確認して、退院後の生活を計画的に考え準備しておく必要があります。

この記事では、親の退院後における生活設計やポイントについて解説します。退院までに準備しておきたい内容や退院当日の流れもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

親の退院が決まったとき、まず考えるべき「退院後の生活」

親の退院が決まったら、まず退院後の生活をどうするか考えましょう。退院後の生活を考えておかないと、その後の生活に混乱や後悔が生まれるためです。その理由について解説します。

なぜ退院後の生活設計が重要なのか

退院後の生活設計が重要な理由は、「退院後の生活=元の生活」というわけではないからです。高齢の親が体調不良や病気で入院した場合、何かしら今後の生活に影響を及ぼす状態となります。たとえば、「これまでできていた家事ができなくなった」「外に買い物にいけなくなった」などが挙げられます。病院では病気への治療は行われますが、病気に伴う日常生活動作の低下まではカバーできません。退院後は今まで通りの生活ができないケースが多いため、退院後こそが支援体制を構築するうえでの重要なタイミングです。

「とりあえず自宅」はリスクになることもある

親が退院するにあたり、住環境も改めて見直す必要があります。十分に準備せず、「とりあえず自宅に戻るだけでいい」と軽い判断で在宅復帰してしまうと、自宅に帰ってから本人・家族の負担増加につながるリスクもあるのです。たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 身体機能が落ちた親が自宅で転倒してしまい再入院した
  • 入院で認知機能が落ちて、火の不始末が起こった
  • 昼夜問わずせん妄が出てしまい、同居している家族の介護負担が増えた など

こうした例は、親だけではなく家族の生活も破綻してしまう可能性があります。退院が決まったら、後述するチェックポイントをもとに在宅復帰ができるかどうか確認しながら準備を進めましょう。

退院前に在宅介護が可能かどうかを判断するチェックポイント

親の退院が決まったら、在宅に戻れるかどうかを判断します。そのとき、判断の軸となるのは以下2つです。

  1. 本人の状態
  2. 家族の介護体制

それぞれのポイントについて解説します。

本人の身体状況・認知機能から判断する

入院中の本人の状態については、下表のポイントを確認しましょう。

項目 チェックポイント
身体機能 ・移動はできるか
・排泄や食事、身支度は1人でできるか
・どの程度のサポートが必要か
・日中だけではなく夜間も介護が必要か
・介護や医療ケアはどれくらい必要か
認知機能 ・服薬やスケジュール管理は1人でできる状態か
・記憶力は衰えていないか
・指示や意見の理解度はどうか
・認知症やその周辺症状が出ていないか
・(要介護が付いていない場合)要介護認定は必要か

上記のチェックポイントをもとに、入院前と入院中でのギャップを探ります。入院中の様子やサポートが必要な場面を病棟の看護師に聞いてみるのもよいでしょう。

家族の介護体制・生活状況を整理する

自宅に戻る親だけではなく、支える家族の介護体制・生活状況も整理しておきましょう。

  • 同居や近居が必要か
  • 誰が介護生活の中心(キーパーソン)となるか
  • 日中だけではなく夜間も含めて家族の誰が対応するか
  • 病院への付き添い、各保険の手続きは誰が行うか など

親を支える家族もそれぞれの生活があり、「親の介護と自分の生活」を両立できるか考える必要があります。ただし、上記のポイントを「1人で・すべて」担うとなると、家族の介護負担が強くなり、最悪の場合共倒れしてしまう可能性も出てきます。もちろん安心できる自宅に戻るのが望ましいですが、本人の状況や家族の介護体制を踏まえて慎重に考えていきましょう。

在宅が難しい場合の選択肢

親の状況悪化や家族の介護力がない場合、無理に在宅復帰を進めるのではなく施設の入居・利用も検討しましょう。施設入居・利用は、退院後の選択肢として現実的であり介護負担を減らす有効な判断です。

退院後すぐ施設利用を検討する

以下のようなケースの場合、退院後はすぐ施設入居を検討しましょう。

  • 常時介護が必要になった
  • 認知症の周辺症状が出ており、家族だけでは対応しきれない
  • 胃ろうや褥瘡など看護ケアが必要になった
  • 老老介護のため、家族が介護できない など

特別養護老人ホーム(特養)やグループホーム、介護付き有料老人ホームなど、24時間手厚くケアやサポートが受けられる環境がおすすめです。

施設入居は決して「最後の手段」というわけではありません。本人と家族の生活を安全・安心にするための大切な選択肢の1つです。

一時的な施設利用という選択肢

本人・家族で希望する施設が見つからなかったり、在宅復帰したいがまだ生活に不安を感じたりしたら、「一時的な施設利用」として下表の施設も検討してみましょう。

  短期入所生活介護(ショートステイ) 介護老人保健施設(老健)
対象者 ・原則65歳以上
・要介護1~5の認定を受けた方※1
・原則65歳以上
・要介護1~5の認定を受けた方
サービス内容 ・排泄、食事などの日常生活上の介護
・機能訓練 など
・専門職によるリハビリ
・医師や看護師での医療ケア
・日常生活上の介護 など
主な利用期間 1か月程度 3か月程度
月額費用 15万円~20万円※2 10万円~20万円※2

※1 要支援の方は「介護予防短期入所生活介護」を利用できます

※2 立地・部屋タイプ・利用期間によって費用に違いがあります

どちらの施設も、終身での利用ではなく本人の状態や家族の負担軽減などで一時的に利用できる施設です。退院後すぐに在宅へ戻るのが不安な方は、ショートステイや老健を利用しつつケアマネジャーや相談員と相談しながら次の方針を決めるとよいでしょう。

ショートステイは、主にショートステイ専門の施設や特別養護老人ホームで利用できます。なお、アイリンク・ケアで運営している高齢者住宅でもショートステイが利用可能です。退院後にすぐ利用できるのはもちろん、ご家族の身体的・精神的負担を減らす目的でも利用いただけます。介護保険外でのショートステイも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

在宅介護を選ぶ場合に退院前までに準備すべきこと

親の退院後、在宅介護を選ぶ場合には、以下の2点を中心に準備しましょう。

  1. 介護用品をそろえておく
  2. 外部サービスの利用を検討する

それぞれについて詳しく解説します。

最低限そろえておきたい介護用品

親の退院直後から必要となるのが介護用品です。下表のような介護用品を最低限そろえておきましょう。

項目 ベッド周り・居室内 移動補助 排泄 食事 衛生用品
主な介護用品 ・介護用ベッド
・手すり
・マットレス など
・杖
・歩行器
・車いす
・おむつ類
・ポータブルトイレ
・食事用エプロン
・レトルト介護食
・とろみ粉
・食事用自助具 など
・清拭用タオル
・おしり拭き
・口腔ケア用スポンジ など
おすすめの方 ベッド上での介助が必要な方 歩行が不安定な方 トイレまで移動できない方 ・食事介助が必要な方
・誤嚥性肺炎を引き起こしやすい方
入浴や口腔ケアに介助が必要な方

介護ベッドや車いすなどはレンタルの手続きや搬入で時間がかかるため、退院が決まったら必要に応じて優先的に準備しましょう。また、下図の13品目は介護保険の適用対象となるレンタル品です。

【参考】山口市:福祉用具のレンタルについて

比較的短い期間で利用するものや購入すると高価なものはレンタルがおすすめです。ご本人の状況や住環境にあわせて介護用品を準備しましょう。

訪問介護・看護、通所など外部サービスの検討

退院後すぐに外部サービスを利用できるよう、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談しましょう。退院日が決まった段階ですぐ情報共有しておくと、スムーズにサービスを利用できます。退院後に利用できる主な介護保険サービスは、下表のとおりです。

  通所サービス
自宅から通うサービス
訪問サービス
自宅で受けられるサービス
その他
サービス名 通所介護 通所リハビリテーション 訪問介護 訪問看護 配食サービス
特徴 日常生活の介護、機能訓練 専門職によるリハビリ 身体介護や生活援助 主に医療処置などの療養上の世話 栄養バランスや健康状態にあった食事を宅配

通所・訪問サービスといっても、ご本人のニーズや状況によって選択するサービスが変わります。ケアマネジャーなどと相談しながら、適切な介護サービスを利用しましょう。

退院当日の動き方と移動手段の選び方

退院当日は、退院手続きや説明だけではなく本人との移動や到着後の対応など、本人・家族ともに負担が集中しやすくなります。事前に当日の動き方や移動方法などを把握しておきましょう。

退院当日の動きと起こりやすいトラブル

退院当日の一般的な流れは、下表のとおりです。

病院内

  • 医師や看護師から説明を受ける
  • 診療情報提供書や看護(+リハビリテーション)サマリー、内服薬を受け取る
  • 会計窓口にて精算する
  • 持参した荷物を整理しまとめる

在宅の場合

  • 荷物や受け取った内服薬を整理する
  • ケアマネジャーやかかりつけ医に連絡し書類を渡す
  • 当日必要な場合、訪問サービスを受ける

施設の場合

  • 施設担当者へ各種書類や内服薬を渡す
  • 必要に応じて本人の様子を報告する
  • 施設より説明を受ける
  • 荷物を整理する

また、週明けなど混みやすいタイミングによっては、医師や看護師から説明を受ける時間が遅くなったり、会計などの事務手続きが混雑していたりする場合があります。そのため、家族は余裕を持って行動するようにしましょう。

移動手段の選び方

退院して自宅・施設に向かうときには、主に以下のような移動手段を選びます。

  • 自家用車
  • 一般タクシー
  • 介護タクシー

まずは退院前に本人の身体状態を確認し、状況にあわせて移動手段を選ぶことが必要です。とくに、本人の歩行が不安定な場合や車いすを使用している場合、自家用車や一般タクシーでは車の乗降に時間がかかったり最悪転倒などのケガにもつながったりします。

移動に不安を感じる場合には、介護タクシーを利用するようにしましょう。介護タクシーの主なメリットは、以下のとおりです。

  • 車いすやストレッチャーなどでそのまま乗降できる
  • 吸引器や酸素ボンベが搭載されている
  • 介護保険が利用できる
  • 資格を持った運転手による乗降介助が受けられる など

退院後は本人にとって久しぶりに外へ出ることとなり、あまり身体が動かないというケースも考えられます。車いすでも乗車できる介護タクシーを利用し、安全に自宅・施設へ移動しましょう。

なお、アイリンク・ケアでは西尾市を中心とした介護タクシー事業も運営しています。
退院での移動はもちろん、外出前準備や帰宅後のお手伝いなど柔軟に対応可能です。各種割引も利用できるので、ぜひご相談ください。

まとめ

親の退院が決まったら、まずは「退院後の生活」をどうするか考えることが重要です。入院中の身体状況などを確認して、退院後の生活を準備しましょう。もちろん、退院後も変わらず自宅で生活できるのが望ましいですが、家族の介護負担も踏まえ施設入居を検討する必要もあります。いずれにせよ、さまざまな介護・医療サービスを積極的に活用し、本人・家族の負担を減らすことが大切です。