はじめての介護 介護施設の選び方・使い方

2026.01.15

認知症の親に適した介護施設選び 入居のタイミングと施設種類のポイント

img

認知症を抱えた親を介護していると、症状や状況に応じて入居を検討するタイミングを考える必要があります。しかし、在宅で介護していくなかで「いつ施設に入居させたほうがよいか」「認知症に対応した施設は?」と不安に感じる方も多いでしょう。

この記事では、認知症の症状や生活状況などに応じた施設入居を検討するタイミングについて解説します。認知症に対応した介護施設や施設選びのポイントについても紹介するので、在宅介護から施設入居を検討している方はぜひ参考にしてください。

認知症の症状段階から考える施設入居の必要性

ここでは、認知症の症状別で考えられる生活への影響や介護負担について解説します。症状の段階を正しく理解することで、施設入居の早すぎる決断や遅すぎる対応を防止できるので、ぜひ参考にしてください。

軽度(初期)の認知症で見られる症状と生活への影響

軽度(初期)の認知症では、以下のような症状が見られます。

  • もの忘れがひどい
  • 判断力や理解力が低下する
  • 時間や場所がわからなくなる など

日常生活ではおおむね自立できてはいますが、金銭管理や予定の把握などがだんだんと難しくなってきます。基本的には在宅生活を続けられる一方で、家族や介護サービスによる見守りやサポートが必要です。

中等度に進行した場合に見られる症状と生活への影響

中等度の認知症では、以下の症状が見られます。

  • 重い記憶障害があらわれる
  • 徘徊や妄想などの周辺症状が出てくる
  • 感情の起伏が激しくなる など

中等度になると本人だけで生活するのが難しいケースが多く見られます。とくに、徘徊による行方不明・交通事故のリスクが高くなることから、家族などの常時見守りが必要です。家族だけでは介護負担が強くなるため、積極的にデイサービスを利用するとともに施設入居も検討する段階といえるでしょう。

重度の認知症になり在宅介護が難しくなる症状と生活への影響

重度の認知症では、以下の症状が見られます。

  • 日常生活全般で24時間介護が必要となる
  • 意思疎通が困難になる
  • 免疫機能や運動能力の低下により、肺炎や感染症のリスクが高くなる など

排泄・食事・清潔行為などを自身で行えないため、24時間体制で介護することが求められます。この状態になるとご家族だけでの在宅介護では対応できず、看護・介護などの専門的なサポートが受けられる環境が必要です。

症状と生活状況で判断する施設入居のタイミング

本人の認知症の症状段階だけではなく、家族や周囲の状況によっても施設入居を検討することが大切です。以下3つのタイミングを例に解説します。

  1. 在宅介護や同居しているケース
  2. 認知症で一人暮らしのケース
  3. 認知症入院して在宅復帰が難しいケース

それぞれの状況を踏まえて施設入居を考えましょう。

在宅介護や同居の場合

家族が同居し在宅介護しているケースでは、以下のタイミングで施設入居を検討します。

  • 家族の身体的、精神的負担が強くなった
  • 日中だけでなく夜間も介護が必要になった
  • 介護と仕事、家庭の両立が難しい など

もちろん本人にとっては住み慣れた自宅での生活を続けられたほうがよいですが、本人を支える家族への負担も考慮する必要があります。家族の負担が強くなると、イライラや体調不良が慢性化して最悪の場合共倒れしてしまうケースも少なくありません。

認知症の親が一人暮らしの場合

一人暮らしの親が認知症になった場合、在宅介護や同居と比べ1人でいる時間が多く、以下のようなリスクに注意する必要があります。

  • 火の消し忘れ・不始末
  • 自宅での転倒
  • 外出後に帰宅できなくなる など

訪問や通所(または、デイサービス)などの介護サービスを積極的に利用していても、どうしても1人でいる時間ができてしまいます。とくに、夜間帯に異変があれば発見が遅くなるケースもあるのです。そのため、早めに施設入居を検討するとともに、入居までの期間はできる限り生活環境や支援体制を見直しましょう。

認知症入院をきっかけに施設入居へ移行する場合

認知症状や体調の悪化による入院をきっかけにして、退院後は自宅に戻るのが難しいと判断された場合、そのまま施設入居するケースがあります。とくに、入院中に以下のような状況になると在宅復帰は難しくなるでしょう。

  • 入院で身体機能が下がり、より介護が必要になった
  • 褥瘡(じょくそう)や痰の吸引などの医療ケアが増えた
  • 認知症状が悪化し、家族だけでは支えきれなくなった など

まずは、退院前に医師や看護師、ソーシャルワーカーへ本人の状況を確認します。医療・介護職からのアドバイスをもとに、自宅に戻れるかどうかを一緒に考えることが大切です。在宅復帰が厳しいと感じ施設入居を進めていくケースは、無理のない移行として現実的な選択なので、本人・家族の状況に応じて検討しましょう。

とくに、退院後の生活は医療・介護どちらのサポートも必要となり、在宅での環境ではなかなか難しいのが現状です。アイリンク・ケアでは、医療ケア・認知症ケアが必要な方でも安心できる住まい・サービスを提供しています。リハビリ専用ルームやデイサービスも充実しているので、退院後の生活に悩みを抱えている方はぜひご相談ください。

認知症に対応した介護施設の種類と特徴

認知症の方でも入居できる代表的な介護施設を紹介します。施設によって特徴や認知症ケアの対応状況が異なるので、その違いを理解したうえで入居先を探しましょう。

グループホームの特徴

対象者 ・認知症の診断を受けている方
・要支援2もしくは要介護1~5の認定を受けた方
・原則65歳以上の方
・施設と同じ市区町村に住んでいる方
特徴 ・専門的な認知症ケアが受けられる
・馴染みのある地元で生活できる
・少人数で落ち着いた雰囲気がある など
費用 初期費用
0万円~数十万円
月額費用
10万円~20万円

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、少人数のユニットで構成される施設です。手厚い認知症ケアを受けたい方や顔なじみの人とゆっくり生活したい方におすすめします。

介護付き有料老人ホーム・特別養護老人ホームの特徴

  介護付き有料老人ホーム 特別養護老人ホーム
対象者 ・原則65歳以上の方
・自立~要介護5の認定を受けている方
・原則65歳以上方
・要介護3~5の方
特徴 ・手厚い介護サービスを受けられる
・施設によってさまざまな特色がある など
・排泄、食事などの生活支援を中心に受けられる
・終身で利用できる など
費用 初期費用
0万円~数百万円
月額費用
15万円~30万円
初期費用
0円
月額費用
4万円~12万円

介護付き有料老人ホームは、「特定施設入所者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームです。費用は他施設と比べて高めですが、手厚い介護サービスや充実した設備で過ごしたい方におすすめします。

特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上の方が対象の公的施設です。比較的費用が安く人気のため、入居まで時間がかかる場合があります。重度の認知症になっても最期までサービスを受けたい方におすすめです。

サービス付き高齢者向け住宅の特徴

対象者 ・60歳以上の方
・自立~軽度の方(※)
特徴 ・安否確認と生活相談サービスが受けられる
・生活の自由度が高い
・バリアフリー構造で安全に生活できる など
費用 初期費用
0万円~数十万円
月額費用
10万円~20万円

※一般型サ高住の場合

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、比較的自立している・軽度の認知症がある方向けの住まいです。他施設と比べ自由度が高く、必要な分だけ介護サービスを選択できます。ただし、認知症が進行し重度化すると退去を求められるサ高住もあるため、入居前に確認しておきましょう。一人暮らしや高齢夫婦で生活に不安がある人におすすめです。

なお、アイリンク・ケアでは複数のサ高住を運営しております。日々の生活支援だけではなくアクティビティも充実しており、「毎日がちょっと楽しみになる」暮らしを提供しています。入居を検討している・相談したい方はぜひ公式サイトをご覧ください。

後悔しないための介護施設選びのポイント

本人・家族の希望にあった介護施設を選ぶためには、以下3つのポイントをおさえておきましょう。

  1. 認知症ケアの実績と対応体制を確認する
  2. 本人の性格や生活リズムに合うかを見極める
  3. 費用・立地・家族の関わりやすさを考慮する

それぞれのポイントについて解説します。

認知症ケアの実績と対応体制を確認する

施設で認知症ケアへの対応方針が明確かを確認しましょう。施設の方針によっては、認知症における周辺症状が出ていると入居を断られるケースがあるためです。周辺症状で何かしらのトラブルが発生したときに、施設の対応・解決までの姿勢は入居後の安心感に大きく関わります。中~重度の認知症になってもそのまま住み続けられるかを確認しておくことが重要です。

本人の性格や生活リズムに合うかを見極める

本人の性格や生活リズムに合う施設を検討しましょう。施設入居は、住む環境が変わることから少なからずストレスを感じてしまいます。このときに「本人がどういう生活を望むか」を考慮して施設を探すことが重要です。入居前に見学して施設の雰囲気や他入居者の様子を観察するようにしましょう。

費用・立地・家族の関わりやすさを考慮する

施設によって費用や立地、周辺環境は大きく変わるため、本人・家族の状況を考慮して施設を検討しましょう。入居金や月額費用といった予算とともに、家族が面会しやすい・通いやすい環境かどうかも重要な判断材料の1つです。施設に入居した後も家族と継続的に関われる環境は、本人の安心感につながります。

施設入居を決断する前に家族で話し合っておきたいこと

認知症の親の施設入居を検討する際に家族間で話し合っておきたい内容は、以下のとおりです。

  • 本人も含めて現状を把握する
  • 本人や家族の希望を共有する
  • 施設に入居する理由を明確にする
  • 家族のなかで役割分担をあらかじめ決めておく など

まずは、本人と家族で現状や希望・施設入居の理由を共有します。本人が施設入居を拒否する可能性もあります。そのときは本人の気持ちを汲み取りつつ、家族の思いも伝えましょう。

また、家族のなかには「親の介護をあきらめてしまった」「施設に入れることに罪悪感がある」というマイナスな感情を抱く方もいます。しかし、施設入居は決して悪いことではありません。無理に在宅介護を続けた結果共倒れになる前に、本人・家族が安心して生活できる環境が大切です。

まとめ

認知症の親が施設入居するとき、本人だけではなく家族も大きな決断となります。環境変化によるストレスを少しでも減らすためには、認知症を理解するとともに予算や希望に応じた施設選びがとても重要です。また、施設入居を決断することは決して「介護をあきらめた」というわけではありません。本人・家族が無理なく安心して生活を続けるための選択肢として、ぜひ入居を検討しましょう。