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2025.12.30

胃ろう看護マニュアル|日常ケア・トラブル対応・家族支援のポイント

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胃ろうは、経口摂取が困難な患者様の栄養管理を支える重要な医療処置です。造設後の管理や日常ケアには専門的な知識と技術が求められ、感染予防やスキントラブル対応、緊急時の判断など、看護師が担う役割は多岐にわたります。本記事では、胃ろうの基礎知識から造設後の初期管理、日常的なケアの実践方法、合併症への対応まで、現場で必要とされる看護のポイントを体系的に解説します。

胃ろうの基礎知識と適応

胃ろうケアを適切に行うためには、まず胃ろうとは何か、どのような患者様に適応されるのかを正しく理解することが重要です。ここでは、胃ろうの定義や目的、適応と禁忌、そして使用される器材の種類について詳しく解説します。

胃ろうの定義と目的

胃ろうとは、腹壁から胃内にチューブやボタン型のカテーテルを留置し、経腸栄養剤や水分、薬剤を直接投与するための医療処置です。英語ではPEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)と呼ばれ、内視鏡を用いて造設されることが一般的です。

胃ろうの主な目的は、嚥下機能の低下や意識障害、消化管通過障害などにより経口摂取が困難または不可能な患者様に対して、必要な栄養と水分を安全に供給することです。経鼻経管栄養と比較して、患者様の不快感が少なく、長期的な栄養管理に適しているという利点があります。また、誤嚥性肺炎のリスクを低減できる点も重要です。

さらに、胃ろうは終末期医療や緩和ケアにおいても活用されます。経口摂取が困難になった患者様のQOL向上や症状緩和に寄与し、在宅ターミナルケアや施設での看取り介護を支える手段としても重要な役割を果たしています。

胃ろうの適応と禁忌

胃ろう造設の適応となるのは、嚥下障害や意識障害により経口摂取が4週間以上見込めない患者様です。脳血管疾患後遺症、神経筋疾患、認知症の進行、頭頸部がんなどが主な原因疾患として挙げられます。

適応の判断にあたっては、患者様本人の意思確認や家族との十分な話し合い、予後の見通し、倫理的配慮が不可欠です。単に経口摂取ができないという理由だけでなく、患者様の全身状態や今後の生活の質、介護環境なども総合的に評価する必要があります。

一方で、胃ろう造設の禁忌としては以下のようなものがあります。

  • 腹水が大量にある場合
  • 腹腔内に癒着や腫瘍がある場合
  • 胃の位置異常や胃壁の肥厚がある場合
  • 出血傾向が強く凝固障害がある場合
  • 全身状態が極めて不良で手術に耐えられない場合

これらの禁忌事項を事前に評価し、造設の可否を慎重に判断することが、安全な胃ろう看護の第一歩となります。

胃ろうの種類と器材の違い

胃ろうには大きく分けて、チューブ型とボタン型の2種類があります。それぞれに特徴があり、患者様の状態や生活環境、介護者の習熟度に応じて選択されます。

チューブ型は、造設直後から使用されることが多く、長いチューブが腹壁から出ている形状です。栄養剤の注入や薬剤投与がしやすく、初期段階での管理に適していますが、チューブが邪魔になったり引っかかったりするリスクがあります。

ボタン型は、腹壁にボタン状の器具が留置され、栄養投与時にのみ接続チューブを取り付ける形式です。日常生活での活動性が高く、衣服の下に隠しやすいため、患者様の尊厳を保ちやすいという利点があります。造設後数週間経過し、瘻孔が安定してから交換されることが一般的です。

ボタン型とチューブ型の特徴

以下の表に、ボタン型とチューブ型の主な特徴を比較してまとめました。

術後初期の胃ろう看護

胃ろう造設直後は、創部の管理や感染予防、栄養投与の開始など、重要な看護ケアが集中する時期です。術後初期の適切な管理が、その後の安全で快適な胃ろう生活の土台となります。

術後初期の観察項目と判定基準

術後初期は、合併症の早期発見と対応のため、細やかな観察が必要です。観察項目としては、バイタルサイン、創部の状態、腹部症状、カテーテルの固定状況などがあります。

バイタルサインは、術直後から数時間は15分から30分おきに測定し、安定していることを確認します。発熱や頻脈、血圧低下がみられる場合は、感染や出血、腹膜炎の可能性を考慮し、速やかに医師に報告します。

創部からの出血や浸出液の量と性状を観察し、異常な出血や膿性の排液がないかを確認します。腹痛や腹部膨満、嘔気・嘔吐などの消化器症状にも注意を払います。

カテーテルの固定水の量や固定位置、皮膚との接触状態を確認し、圧迫による皮膚損傷や過度な牽引がないかをチェックします。ストッパーの位置を適切に調整し、カテーテルが動かないよう固定します。

創部ドレッシングと感染予防の看護

術後の創部管理は、感染予防とスキントラブル防止の観点から非常に重要です。造設直後の創部は、浸出液や出血がみられることがあるため、適切なドレッシング材を使用して保護します。

初期段階では、ガーゼやフィルムドレッシング材を用いて創部を覆い、清潔を保ちます。ドレッシング交換は毎日または医師の指示に従って行い、創部の状態を観察します。発赤、腫脹、熱感、膿性分泌物などの感染徴候がないかを注意深く確認します。

創部周囲の皮膚は、微温湯または生理食塩水で優しく洗浄し、清潔に保ちます。石鹸を使用する場合は、刺激の少ないものを選び、十分にすすぎます。洗浄後は、水分をしっかり拭き取り、乾燥させることが大切です。

感染予防のためには、手指衛生の徹底、清潔操作の遵守、栄養状態の改善、免疫力の維持が重要です。また、患者様やご家族にも、感染予防の重要性を説明し、日常のケアに協力していただきます。

初回栄養開始のタイミングと実施方法

胃ろうからの栄養投与は、通常、造設後24時間から48時間後に開始されます。初回投与前には、カテーテルの位置確認を行い、胃内に正しく留置されていることを確認します。

位置確認の方法としては、カテーテルから胃内容物を吸引して確認する方法や、医師が内視鏡やレントゲンで確認する方法があります。看護師は、医師の指示に従い、確認が取れてから栄養投与を開始します。

初回は、白湯や薄めた経腸栄養剤を少量から開始し、消化器症状や嘔気・嘔吐の有無を観察します。問題がなければ、徐々に濃度と量を増やしていきます。

栄養投与は、重力滴下法やポンプを用いた持続注入法で行い、投与速度は100mlから150ml/時間程度を目安に、患者様の状態に応じて調整します。投与中は、患者様の体位を30度から45度程度のセミファーラー位に保ち、誤嚥予防を図ります。

投与後は、カテーテル内を白湯でフラッシュし、閉塞を防ぎます。また、投与後1時間程度は体位を保持し、逆流や誤嚥のリスクを低減します。

疼痛管理と患者の安楽確保

術後の疼痛は、患者様のQOLを大きく左右します。適切な疼痛管理を行い、患者様が安楽に過ごせるよう支援します。

術後の疼痛は、創部痛や腹部の違和感、カテーテルによる圧迫感などが主なものです。疼痛の程度や性質、持続時間を評価し、医師の指示に従って鎮痛薬を投与します。

非薬物的な疼痛緩和方法としては、体位の工夫、温罨法、マッサージ、リラクゼーション技法などがあります。患者様の好みや反応を見ながら、適切な方法を選択します。

また、カテーテルの固定位置やストッパーの圧迫が疼痛の原因になっていないかを確認し、必要に応じて調整します。疼痛が持続する場合や増強する場合は、感染や合併症の可能性を考慮し、医師に報告します。

日常的なケアとスキントラブルの看護

胃ろうの日常ケアは、感染予防、スキントラブルの予防、カテーテルの適切な管理を目的として行われます。毎日のケアを丁寧に実施することで、患者様が安全で快適な生活を送ることができます。

毎日の観察と洗浄方法

胃ろう周囲の観察と洗浄は、毎日行うべき基本的なケアです。観察項目としては、創部の発赤、腫脹、熱感、分泌物の有無、皮膚の状態、カテーテルの固定状況などがあります。

洗浄は、微温湯または生理食塩水を用いて、創部周囲の皮膚を優しく洗います。石鹸を使用する場合は、低刺激性のものを選び、泡をしっかり洗い流します。洗浄後は、柔らかいタオルやガーゼで水分を拭き取り、しっかり乾燥させます。

カテーテルと皮膚の接触部分は、分泌物や汚れが溜まりやすいため、綿棒などを用いて丁寧に清拭します。カテーテルを回転させながら清拭することで、瘻孔の周囲全体を清潔に保つことができます。

日々の観察を通じて、異常の早期発見に努め、問題があれば速やかに対応します。観察結果は記録に残し、医療チームで情報共有を図ります。

ストッパー管理と固定のコツ

ストッパーは、カテーテルが胃内に留置された状態を保ち、抜けないように固定する役割を果たします。適切なストッパー管理は、スキントラブルの予防やカテーテルの安定に直結します。

ストッパーと皮膚の間には、通常、5mmから10mm程度の余裕を持たせます。圧迫しすぎると皮膚損傷や潰瘍の原因となり、緩すぎると栄養剤の漏れや感染のリスクが高まります。

ストッパーの位置は、毎日確認し、皮膚の状態や患者様の体格の変化に応じて調整します。また、カテーテルを回転させることで、同じ部分に圧力がかかり続けることを防ぎます。

チューブ型の場合は、テープやクリップで腹部に固定し、引っ張られたり引っかかったりしないよう工夫します。ボタン型の場合は、キャップをしっかり閉め、接続部の確認を怠らないようにします。

入浴と清潔維持の実践

胃ろうを造設していても、入浴は可能です。清潔の保持と患者様のQOL向上のため、積極的に入浴を支援します。

入浴の際には、カテーテルの固定や防水処置を確認し、創部に過度な水圧がかからないよう注意します。造設直後や創部が安定していない時期は、シャワー浴や清拭から始め、徐々に浴槽入浴へと移行します。

入浴後は、創部周囲の水分をしっかり拭き取り、乾燥させます。湿潤状態が続くと、皮膚のふやけやマセレーション、感染のリスクが高まるため、注意が必要です。

入浴は、患者様にとってリラックスできる貴重な時間であり、家族とのコミュニケーションの機会でもあります。安全に配慮しながら、入浴を楽しんでいただけるよう支援します。

漏れや皮膚障害の予防と対処

胃ろう周囲からの栄養剤の漏れや皮膚障害は、日常ケアにおける代表的なトラブルです。予防と早期対処が重要です。

漏れの原因としては、カテーテルの位置ずれ、ストッパーの緩み、瘻孔の拡大、カテーテルの劣化などが考えられます。漏れが生じた場合は、原因を特定し、適切に対処します。

皮膚障害の予防には、適切な洗浄と乾燥、ストッパーの調整、皮膚保護剤の使用などが有効です。発赤やびらん、潰瘍が生じた場合は、医師や皮膚・排泄ケア認定看護師に相談し、専門的なケアを受けます。

以下の表に、漏れと皮膚障害の予防と対処法をまとめました。

トラブル 原因 予防策 対処法
栄養剤の漏れ 位置ずれ、瘻孔拡大 ストッパー調整、カテーテル回転 原因特定、カテーテル交換
皮膚の発赤 圧迫、湿潤、刺激 適切な固定、乾燥維持 圧迫解除、皮膚保護
潰瘍形成 過度な圧迫、感染 ストッパー管理、清潔保持 専門的ケア、治療介入
感染 不潔、免疫低下 手指衛生、清潔操作 抗菌薬投与、創処置

漏れがあるときの具体的対応手順

栄養剤の漏れが確認された場合は、以下の手順で対応します。

  1. 漏れの程度と範囲を確認し、記録する
  2. カテーテルの位置と固定状態を確認する
  3. ストッパーの位置を調整し、適切な圧で固定する
  4. 瘻孔周囲の皮膚を清潔に保ち、保護剤を使用する
  5. 改善しない場合は、医師に報告しカテーテル交換を検討する

漏れが持続すると、皮膚障害や感染のリスクが高まるため、速やかな対応が求められます。

胃ろうでの経腸栄養の投与と栄養管理

胃ろうからの経腸栄養投与は、患者様の栄養状態を維持・改善するための中心的なケアです。適切な投与方法と栄養管理を行うことで、合併症を予防し、患者様のQOLを向上させます。

投与方法の種類と選び方

経腸栄養の投与方法には、大きく分けて、ボーラス法、間欠法、持続注入法の3つがあります。それぞれの方法には特徴があり、患者様の状態や生活スタイルに応じて選択します。

ボーラス法は、シリンジを用いて短時間に栄養剤を注入する方法です。1回の投与量は200mlから400ml程度で、食事のリズムに近い投与が可能です。在宅ケアや施設での管理に適していますが、急速投与による嘔気や下痢のリスクがあります。

間欠法は、重力滴下法を用いて、1時間程度かけてゆっくりと投与する方法です。消化器症状が出にくく、患者様の負担が少ないという利点があります。1日3回から4回に分けて投与し、生活リズムを保ちやすい方法です。

持続注入法は、ポンプを用いて24時間または夜間に持続的に投与する方法です。重症患者様や消化管機能が低下している患者様に適していますが、機器の管理や在宅での実施には工夫が必要です。

投与速度・間隔と栄養剤の管理

投与速度と間隔は、患者様の消化管機能や栄養状態、生活スタイルに応じて設定します。一般的には、100mlから150ml/時間の速度で、1日の総投与量を数回に分けて投与します。

投与速度が速すぎると、嘔気、嘔吐、下痢、腹部膨満などの消化器症状が出現しやすくなるため、注意が必要です。初回投与時や栄養剤の変更時には、少量からスタートし、徐々に増量していきます。

栄養剤の管理においては、保存温度や開封後の使用期限、清潔操作の遵守が重要です。開封後の栄養剤は冷蔵保存し、24時間以内に使用します。投与前には室温に戻し、冷たいまま投与すると腹痛や下痢の原因となるため注意します。

投与ルートやシリンジ、接続チューブは、使用後に洗浄し、清潔に保管します。定期的に交換し、細菌繁殖を防ぎます。

誤嚥予防と消化管機能の評価

胃ろうからの栄養投与においても、誤嚥のリスクはゼロではありません。逆流や嘔吐による誤嚥を防ぐため、適切な体位管理と消化管機能の評価が必要です。

投与中および投与後1時間程度は、上半身を30度から45度程度挙上したセミファーラー位を保ちます。完全な仰臥位では、胃内容物が逆流しやすく、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

消化管機能の評価としては、腹部の聴診や触診、排ガス・排便の有無、残胃量の測定などがあります。残胃量が多い場合は、投与速度を遅くしたり、投与量を減らしたりする必要があります。

嘔気や嘔吐、腹部膨満などの症状がみられる場合は、消化管運動機能の低下が考えられるため、医師に報告し、投与計画の見直しや薬剤の調整を検討します。

薬剤投与と水分管理の看護ポイント

胃ろうからは、栄養剤だけでなく、薬剤や水分の投与も可能です。適切な投与方法と水分管理を行い、患者様の全身状態を維持します。

薬剤投与の際には、錠剤を粉砕したり、カプセルを開けたりして、微温湯に溶解してから投与します。粉砕できない薬剤や、胃ろうからの投与に適さない薬剤もあるため、薬剤師に確認することが重要です。

投与後は、白湯でカテーテル内をフラッシュし、薬剤の残留や閉塞を防ぎます。複数の薬剤を投与する場合は、それぞれの間にフラッシュを行い、薬剤同士の相互作用を防ぎます。

水分管理においては、1日の必要水分量を把握し、栄養剤に含まれる水分量と追加の水分投与量を計算します。脱水や浮腫の徴候を観察し、適切な水分バランスを保ちます。

特に高齢者や終末期の患者様では、水分出納のバランスが崩れやすいため、体重測定、尿量測定、皮膚ツルゴールの確認などを通じて、こまめに評価します。

合併症と緊急対応の看護

胃ろう管理において、合併症の早期発見と迅速な対応は、患者様の安全を守る上で不可欠です。ここでは、代表的な合併症とその対応、緊急時の看護について解説します。

感染と腹膜炎の早期発見と対応

胃ろう造設部の感染や腹膜炎は、重篤な合併症の一つです。早期発見と迅速な対応が求められます。

感染の徴候としては、創部の発赤、腫脹、熱感、疼痛、膿性分泌物、発熱、白血球増多などがあります。日々の観察を通じて、これらの徴候を見逃さないよう注意します。

腹膜炎の徴候としては、激しい腹痛、腹部の圧痛、筋性防御、発熱、頻脈、血圧低下などがあります。これらの症状がみられた場合は、直ちに医師に報告し、緊急対応を行います。

感染予防のためには、日常の清潔操作の徹底、手指衛生の遵守、創部の適切な管理、栄養状態の改善が重要です。また、患者様やご家族にも、感染予防の重要性を説明し、協力を得ます。

感染が疑われる場合は、培養検査や血液検査を実施し、原因菌を特定します。医師の指示に従い、抗菌薬の投与や創処置を行います。

カテーテル閉塞や抜去時の即時対応

カテーテルの閉塞や事故抜去は、胃ろう管理における代表的なトラブルです。迅速かつ適切な対応が求められます。

カテーテルの閉塞は、栄養剤の残留や薬剤の沈殿、カテーテルの劣化などが原因で起こります。閉塞を予防するためには、投与後の十分なフラッシュ、薬剤の適切な溶解、定期的なカテーテル交換が重要です。

閉塞が発生した場合は、まず微温湯やぬるま湯を用いてフラッシュを試みます。無理に圧力をかけるとカテーテルが破損する恐れがあるため、注意が必要です。改善しない場合は、炭酸水やパンクレアチンなどの酵素製剤を使用するか、カテーテルを交換します。

事故抜去が発生した場合は、瘻孔が閉鎖するのを防ぐため、可能な限り速やかに再挿入を行います。造設後間もない場合や、瘻孔が未熟な場合は、医師による再挿入が必要です。

再挿入までの間、瘻孔を確保するために、一時的にフォーリーカテーテルなどを挿入することがあります。再挿入後は、カテーテルの位置確認を行い、安全を確保します。

出血・漏れ・皮膚崩壊時の対処フロー

出血、栄養剤の漏れ、皮膚崩壊などのトラブルが発生した場合、以下のフローで対応します。

  • 出血がある場合は、出血部位と出血量を確認し、圧迫止血を行います。止血困難な場合や大量出血の場合は、医師に速やかに報告します。
  • 栄養剤の漏れがある場合は、漏れの原因を特定し、カテーテルの位置やストッパーの調整を行います。改善しない場合は、カテーテル交換を検討します。
  • 皮膚崩壊が生じた場合は、創部の洗浄と保護を行い、感染予防を図ります。専門的なケアが必要な場合は、皮膚・排泄ケア認定看護師に相談します。

以下の表に、各トラブルの対処法をまとめました。

トラブル 初期対応 継続的ケア 医師への報告基準
出血 圧迫止血、出血量確認 止血後の経過観察 止血困難、大量出血
栄養剤の漏れ 原因特定、ストッパー調整 皮膚保護、漏れの観察 改善なし、皮膚障害悪化
皮膚崩壊 洗浄、保護、感染予防 専門的ケア、治癒促進 感染徴候、治癒遅延
カテーテル閉塞 フラッシュ、酵素製剤使用 予防的フラッシュ 開通不可、カテーテル破損

緊急時の搬送と医療チーム連携

重篤な合併症や急変時には、速やかな医療機関への搬送と医療チームとの連携が必要です。特に在宅や施設でのケアにおいては、緊急時の対応体制を事前に整えておくことが重要です。

緊急搬送が必要となる状況としては、大量出血、激しい腹痛と腹膜炎の徴候、意識障害、呼吸困難、ショック状態などがあります。これらの症状がみられた場合は、直ちに救急搬送を要請します。

在宅ケアの場合は、訪問看護ステーションや訪問診療の医師と連携し、24時間対応可能な体制を構築しておくことが大切です。緊急時の連絡先や搬送先の医療機関を事前に確認し、ご家族にも周知しておきます。

施設でのケアにおいては、施設内の医療スタッフや協力医療機関との連携体制を確認し、迅速な対応ができるよう準備します。緊急時の対応手順をマニュアル化し、スタッフ全員が共有しておくことが望ましいです。

また、終末期医療や緩和ケアの文脈では、患者様やご家族の意向を事前に確認し、延命治療の希望や看取りの場所について話し合っておくことも重要です。医療チーム全体で情報共有し、患者様の尊厳を守る医療・ケアを提供します。

まとめ

胃ろう看護は、造設前の評価から術後管理、日常ケア、合併症対応まで、幅広い知識と技術が求められます。本マニュアルでは、胃ろうの基礎知識、造設手順、術後初期の看護、日常ケアのポイント、経腸栄養の投与方法、そして合併症への対応について、実践的な内容を解説しました。 日々の観察と適切なケアを通じて、感染やスキントラブルを予防し、患者様が安全で快適な生活を送れるよう支援することが看護師の役割です。また、ご家族への教育と支援を行い、在宅での継続的なケアが可能となるよう、訪問看護や訪問診療との連携も重要です。 終末期医療や緩和ケアにおいても、胃ろうは患者様のQOL向上と症状緩和に寄与する重要な手段です。医療チーム全体で協力し、患者様とご家族に寄り添った看護を提供していきましょう。