福祉用具のレンタル料金まとめ | 自己負担1割で利用できる仕組みとは
高齢になると、日常生活で介護ベッドや車椅子、歩行器などの福祉用具が必要になる場面が増えてきます。しかし、これらの福祉用具を購入するには高額な費用がかかるため、多くの方がレンタルを検討されています。実は介護保険を利用すれば、福祉用具を自己負担1割から3割の料金でレンタルできる仕組みがあることをご存じでしょうか。
この記事では、福祉用具レンタルの料金体系や介護保険を活用した利用方法について、具体的な金額例を交えながら詳しく解説します。レンタル料金を抑えるための工夫や、手続きの流れ、料金トラブルへの対処法まで幅広くカバーしていますので、福祉用具のレンタルを検討されている方はぜひ参考にしてください。
介護保険との関わり
福祉用具のレンタルには介護保険が深く関わっており、この制度を利用することで大幅に費用負担を軽減できます。介護保険を活用した福祉用具レンタルでは、利用者は実際のレンタル料金の1割から3割のみを負担すれば済むため、経済的な負担を大きく減らすことができます。ただし、この制度を利用するには要介護認定を受ける必要があり、認定された要介護度によってレンタルできる福祉用具の種類が異なります。
自己負担割合と負担額の例
介護保険を利用した福祉用具レンタルでは、所得に応じて自己負担割合が1割、2割、3割のいずれかに設定されます。一般的な所得の方は1割負担となり、例えば月額10,000円のレンタル料金の場合、実際に支払う金額は1,000円となります。一方、所得が一定以上ある方は2割負担または3割負担となり、同じレンタル料金でも2,000円または3,000円の自己負担となります。
具体的な例として、介護ベッドを月額12,000円でレンタルする場合を考えてみましょう。1割負担の方であれば月々1,200円、2割負担の方は2,400円、3割負担の方は3,600円となります。この自己負担割合は市区町村から交付される介護保険負担割合証に記載されており、毎年所得に応じて見直されます。自己負担割合が分からない場合は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口やケアマネージャーに確認することをおすすめします。
要介護度ごとにレンタルできる福祉用具
介護保険でレンタルできる福祉用具は、要介護度によって異なり、軽度者(要支援1・2、要介護1)と中重度者(要介護2以上)では利用できる品目に制限があります。これは、利用者の状態に応じた適切な福祉用具の利用を促すための仕組みです。
■軽度者(要支援1・2、要介護1)がレンタルできる4品目
基本的に次の四つのみが対象です。
- 手すり
- スロープ
- 歩行器
- 歩行補助杖(T字杖、多点杖など)
※日常の移動や立ち座りを補助するための用具が中心。
■中重度者(要介護2以上)が対象となる品目
身体状況の変化により、より多機能な福祉用具が利用可能になります。
・車椅子
・車椅子付属品(クッション、テーブルなど)
・特殊寝台(介護ベッド)
・特殊寝台付属品(サイドレール、マットレス など)
・床ずれ防止用具(エアマットなど)
・体位変換器
・認知症老人徘徊感知機器
・移動用リフト
■要介護1以下でも利用できる「例外」
医師意見書などにより 必要性が明確に認められた場合、
軽度者でも車椅子や特殊寝台などの利用が認められることがあります。
■自動排泄処理装置の対象
・要介護4以上
・さらに「使用が適切と認められる場合」のみ
※最も条件が厳しい種目です。
■なぜ要介護度によって対象が変わるのか
利用者の状態に応じて 必要な用具を適切に提供し、過剰な利用を防ぐため です。
ケアマネージャーと相談しながら、今の状態に合った用具を選ぶことが大切です。
支給限度額と利用者負担の仕組み
介護保険には、要介護度ごとに1か月あたりの支給限度額が設定されています。この限度額は福祉用具レンタルだけでなく、訪問介護やデイサービスなどすべての介護サービスを合わせた総額に適用されます。例えば、要介護1の方の支給限度額は月額167,650円、要介護3の方は270,480円となっており、この範囲内であれば1割から3割の自己負担でサービスを利用できます。
福祉用具レンタルの料金もこの支給限度額の枠内で計算されます。仮に要介護2の方が月額10,000円の介護ベッドと月額5,000円の車椅子をレンタルし、さらに訪問介護を利用している場合、これらすべての合計金額が支給限度額(197,050円)以内であれば、それぞれのサービスについて自己負担割合に応じた金額を支払うことになります。もし支給限度額を超えた場合は、超過分については全額自己負担となるため注意が必要です。
また、福祉用具レンタルには、全国平均貸与価格や上限価格が公表されており、極端に高額な料金設定を防ぐ仕組みも整備されています。このため、事業者によって料金に差はあるものの、一定の範囲内に収まるようになっています。複数の事業者から見積もりを取り、料金とサービス内容を比較検討することが賢い選択につながります。
品目別の福祉用具レンタル料金の目安
福祉用具のレンタル料金は、品目や機能、メーカーによって大きく異なります。ここでは、代表的な福祉用具のレンタル料金の目安を品目ごとに詳しくご紹介します。これらの料金は事業者や地域によって変動しますが、全国平均的な相場として参考にしていただけます。実際にレンタルを検討する際は、複数の事業者から見積もりを取ることをおすすめします。
介護ベッドの料金目安
介護ベッド(特殊寝台)のレンタル料金は、月額8,000円から15,000円程度が一般的な相場です。基本的な電動2モーターベッドであれば月額8,000円から10,000円程度、背上げと膝上げが独立して操作できる3モーターベッドでは月額10,000円から13,000円程度となります。さらに高機能な4モーターベッドや低床型ベッドは月額12,000円から15,000円程度の料金設定が多く見られます。
介護ベッドには本体だけでなく、サイドレールやマットレスなどの付属品も必要になります。サイドレールは月額500円から1,000円程度、介護用マットレスは月額1,000円から3,000円程度が相場です。床ずれ防止用のエアマットレスを使用する場合は、月額3,000円から8,000円程度と高額になりますが、床ずれのリスクが高い方には必要不可欠な用具です。これらの付属品もすべて介護保険の対象となり、自己負担割合に応じた金額で利用できます。
車いすと歩行器の料金目安
車椅子のレンタル料金は、標準型の自走式車椅子で月額3,000円から5,000円程度、介助式車椅子も同様の価格帯となります。リクライニング機能付きの車椅子は月額5,000円から8,000円程度、電動車椅子になると月額10,000円から20,000円程度と高額になります。車椅子には、クッションやテーブルなどの付属品もあり、これらは月額500円から2,000円程度で追加レンタルできます。
歩行器のレンタル料金は、固定型歩行器で月額1,000円から2,000円程度、キャスター付き歩行器で月額2,000円から4,000円程度が相場です。歩行車(シルバーカー)は月額2,500円から5,000円程度となっており、座面や買い物かごが付いているタイプは高めの料金設定となります。歩行補助杖は月額500円から1,500円程度と比較的安価で、T字杖、多点杖、ロフストランド杖など種類によって料金が異なります。
浴室やトイレ関連用品の料金目安
浴室用の手すりや入浴補助用具は、福祉用具レンタルの中でも比較的安価な品目です。浴槽用手すりは月額500円から1,500円程度、シャワーチェアは月額1,000円から2,500円程度でレンタルできます。浴槽内いすや浴槽台は月額800円から2,000円程度、入浴用介助ベルトは月額500円から1,000円程度が一般的な相場です。
ポータブルトイレは月額2,000円から5,000円程度でレンタルできます。基本的な樹脂製のものは安価ですが、木製で家具調のデザインのものや、脱臭機能付きのものは高めの料金設定となります。トイレ用手すりは月額1,000円から2,500円程度で、立ち座りを補助するアームレスト型や、便器の両側に設置する据え置き型などがあります。
補助具や消耗品の料金目安
移動用リフトは、吊り具部分を含めて月額8,000円から15,000円程度でレンタルできます。据え置き型、レール走行型、床走行型など種類によって料金が異なり、機能が高度なものほど高額になります。移動用リフトは要介護2以上の方が対象で、寝たきりの方や重度の身体障害がある方の移乗介助に有効です。吊り具のシート部分は、衛生面から購入が必要な場合もあります。
認知症老人徘徊感知機器は、月額2,000円から5,000円程度でレンタルできます。センサーマットタイプ、赤外線センサータイプ、GPS端末タイプなどがあり、それぞれ特徴と料金が異なります。徘徊リスクのある方の安全を守るために有効な福祉用具です。体位変換器は月額1,000円から3,000円程度で、床ずれ予防に役立ちます。
スロープは、段差の高さや長さによって料金が変わりますが、一般的に月額1,000円から5,000円程度です。固定式の短いスロープは安価ですが、車椅子で使用する長いスロープは高額になります。段差が高い場合は複数のスロープを組み合わせて使用することもあり、その場合は料金も増加します。これらの福祉用具は、利用者の状態や住環境に合わせて適切に選択することで、安全で快適な生活環境を整えることができます。
●介護ベッド
| 項目 | 内容 | 料金目安 |
| 2モーター | 背上げ+脚上げ | ¥8,000〜¥10,000 |
| 3モーター | 背上げ・脚上げ独立操作 | ¥10,000〜¥13,000 |
| 4モーター/低床型 | 姿勢調整が細かいタイプ | ¥12,000〜¥15,000 |
| サイドレール | ベッド転落防止用 | ¥500〜¥1,000 |
| マットレス | 標準タイプ | ¥1,000〜¥3,000 |
| エアマット | 床ずれ予防用 | ¥3,000〜¥8,000 |
●車椅子
| 項目 | 内容 | 料金目安 |
| 標準型(自走/介助) | 一般的な車椅子 | ¥3,000〜¥5,000 |
| リクライニング | 背もたれ角度調整可 | ¥5,000〜¥8,000 |
| 電動車椅子 | 電動操作タイプ | ¥10,000〜¥20,000 |
| クッション/テーブル | 付属品 | ¥500〜¥2,000 |
●歩行器・杖
| 項目 | 内容 | 料金目安 |
| 固定型歩行器 | 基本タイプ | ¥1,000〜¥2,000 |
| キャスター付き歩行器 | 走行しやすいタイプ | ¥2,000〜¥4,000 |
| 歩行車(シルバーカー) | 座面・かご付きもあり | ¥2,500〜¥5,000 |
| 杖(各種) | T字、多点など | ¥500〜¥1,500 |
●浴室用具
| 項目 | 内容 | 料金目安 |
| 浴槽手すり | 浴槽への出入り補助 | ¥500〜¥1,500 |
| シャワーチェア | 座位保持しながら洗身 | ¥1,000〜¥2,500 |
| 浴槽いす/浴槽台 | 入浴補助 | ¥800〜¥2,000 |
| 入浴介助ベルト | 介助者の補助具 | ¥500〜¥1,000 |
●トイレ用具
| 項目 | 内容 | 料金目安 |
| ポータブルトイレ | 樹脂製〜家具調まで | ¥2,000〜¥5,000 |
| トイレ用手すり | 立ち座り補助 | ¥1,000〜¥2,500 |
●リフト・その他
| 項目 | 内容 | 料金目安 |
| 移動用リフト | 床走行・据置型など | ¥8,000〜¥15,000 |
| 徘徊感知機器 | マット・赤外線・GPSなど | ¥2,000〜¥5,000 |
| 体位変換器 | 床ずれ予防 | ¥1,000〜¥3,000 |
| スロープ | 長さで料金変動 | ¥1,000〜¥5,000 |
レンタル料金に含まれる費用と追加費用
福祉用具のレンタル料金には、基本的なレンタル代のほかに、さまざまな費用が含まれている場合と、別途追加費用が発生する場合があります。契約前にどこまでが基本料金に含まれているのかを確認しておくことで、予想外の出費を防ぐことができます。ここでは、レンタル料金の内訳と追加費用について詳しく解説します。
基本レンタル料の内訳
基本レンタル料には、福祉用具本体の使用料、定期的なメンテナンス費用、消毒や清掃などの衛生管理費用が含まれているのが一般的です。多くの事業者では、月額料金の中にこれらのサービスが組み込まれているため、利用者は追加費用を気にせず安心して使用できます。特に介護ベッドや車椅子など頻繁に使用する福祉用具は、定期的なメンテナンスが重要ですので、これが基本料金に含まれていることは大きなメリットです。
また、故障時の修理費用や交換費用についても、通常の使用範囲内での故障であれば基本料金に含まれていることが多いです。ただし、利用者の過失による破損や紛失の場合は別途費用が発生することがありますので、契約時に確認しておきましょう。さらに、福祉用具専門相談員による定期訪問やアフターフォローも基本料金に含まれている場合が多く、使用方法の指導や調整などのサポートを受けることができます。
基本レンタル料は事業者によって含まれる内容が異なる場合がありますので、複数の事業者から見積もりを取る際は、料金だけでなくサービス内容も比較することが重要です。安価な料金設定でも、メンテナンスや訪問サポートが別料金になっている場合は、トータルコストが高くなることもあります。契約書や重要事項説明書をよく読んで、不明点は事前に質問しておきましょう。
オプションや付属品の料金
福祉用具本体のレンタル料金とは別に、オプションや付属品の料金が発生する場合があります。例えば、介護ベッドをレンタルする場合、ベッド本体の料金にはマットレスやサイドレールが含まれていないことが多く、これらは別途レンタル料金がかかります。マットレスは月額1,000円から3,000円程度、サイドレールは月額500円から1,000円程度が相場です。
車椅子の場合も、本体の料金にクッションやテーブル、レインカバーなどの付属品は含まれていないことが一般的です。これらのオプション品は月額500円から2,000円程度で追加レンタルできます。オプション品を複数追加すると、月々の料金が大きく増加することがありますので、本当に必要なものを見極めることが大切です。ケアマネージャーや福祉用具専門相談員と相談しながら、利用者の状態に合わせて必要最小限のオプションを選びましょう。
一部の消耗品については、レンタルではなく購入が必要な場合もあります。例えば、移動用リフトの吊り具シートや、ポータブルトイレの消臭剤などは購入品となることが多いです。介護保険には福祉用具購入費の支給制度もあり、年間10万円を上限として購入費用の7割から9割が支給されますので、この制度を活用することで費用負担を軽減できます。
搬入設置と回収にかかる費用
福祉用具の搬入設置費用と回収費用については、事業者によって対応が異なります。多くの事業者では、初回の搬入設置費用および契約終了時の回収費用を基本料金に含めているため、追加費用が発生しないことが一般的です。特に介護保険適用のレンタルでは、これらの費用も保険給付の対象となるため、自己負担が少なくて済みます。
ただし、特殊な搬入方法が必要な場合や、設置場所が2階以上でエレベーターがない場合、狭い階段や通路を通る必要がある場合などは、追加の搬入費用が発生することがあります。また、組み立てや調整に時間がかかる福祉用具の場合も、別途技術料が請求されることがあります。事前に自宅の状況を事業者に伝え、追加費用の有無を確認しておくことをおすすめします。
引っ越しや入院などで一時的に福祉用具を返却する場合や、別の場所への移設が必要な場合も、費用が発生することがあります。こうした場合の対応や費用については、契約時に確認しておくと安心です。また、福祉用具の交換が必要になった場合の費用についても、あらかじめ確認しておきましょう。通常の使用による劣化や身体状況の変化に伴う交換であれば、追加費用なしで対応してくれる事業者が多いです。
メンテナンスや故障時の費用負担
通常使用の範囲内での故障やメンテナンスについては、基本レンタル料金に含まれており、利用者に追加費用が発生しないのが一般的です。福祉用具貸与事業者は、定期的に福祉用具の点検を行い、必要に応じて部品交換や調整を行う義務があります。電動ベッドのモーターの不調や車椅子のタイヤの摩耗など、経年劣化による故障は無償で修理または交換してもらえます。
しかし、利用者の過失や不適切な使用による破損の場合は、修理費用や交換費用が請求されることがあります。例えば、福祉用具を乱暴に扱ったり、指定された用途以外で使用したり、改造を加えたりした場合は、損害賠償を求められることもあります。また、紛失や盗難の場合も、利用者の責任となり、弁償が必要になります。このようなトラブルを避けるために、福祉用具は丁寧に取り扱い、使用方法を守ることが大切です。
緊急時の対応についても、契約時に確認しておくと安心です。多くの事業者は24時間対応の連絡窓口を設けており、夜間や休日でも故障時のサポートを受けられる体制を整えています。ただし、緊急対応については別途費用が発生する場合もありますので、事前に確認しておきましょう。定期的なメンテナンスや点検の頻度、連絡方法なども含めて、契約内容をしっかり理解しておくことが重要です。
福祉用具レンタル料金を抑える方法
福祉用具のレンタル料金を抑えるためには、介護保険の適切な活用や、自治体の補助制度の利用、事業者選びの工夫など、さまざまな方法があります。ここでは、実践的なコスト削減の方法をご紹介します。これらの方法を組み合わせることで、質の高い福祉用具を経済的な負担を抑えながら利用することができます。
介護保険適用の確認と活用方法
福祉用具レンタルの費用を最も効果的に抑える方法は、介護保険を適切に活用することです。まず、要介護認定をまだ受けていない方は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に申請することから始めましょう。要支援1以上の認定を受けることで、福祉用具レンタルの費用が1割から3割の自己負担で済むようになります。申請から認定までは通常1か月程度かかりますので、早めに手続きを開始することをおすすめします。
すでに要介護認定を受けている方は、ケアマネージャーと相談して、ケアプランに福祉用具レンタルを組み込んでもらいましょう。ケアプランに位置付けられた福祉用具は介護保険の対象となり、大幅に費用を抑えることができます。また、現在の要介護度で利用できない福祉用具が必要な場合でも、医師の意見書などにより例外的に認められることがありますので、ケアマネージャーに相談してみてください。
介護保険の支給限度額を効率的に使うことも重要です。福祉用具レンタルだけでなく、訪問介護やデイサービスなども含めた総合的なサービス利用を考え、限度額内で最大限の効果が得られるようにケアプランを調整しましょう。また、自己負担割合は所得によって決まりますので、負担割合が高い方は、税制上の控除や減免制度を活用して所得を調整することで、将来的に負担割合を下げられる可能性もあります。
自治体の補助や助成の利用法
多くの自治体では、介護保険とは別に、独自の福祉用具購入費助成制度や日常生活用具給付事業を実施しています。これらの制度を活用することで、介護保険の対象外となる福祉用具や、購入が必要な用具についても費用負担を軽減できます。対象品目や助成額、所得制限などの条件は自治体によって異なりますので、お住まいの市区町村の福祉担当窓口に問い合わせてみましょう。
例えば、一部の自治体では、要介護度が軽度で介護保険の対象外となる福祉用具について、独自の助成制度を設けています。また、住宅改修と合わせて福祉用具を導入する場合に、追加の補助金が受けられる自治体もあります。さらに、低所得世帯向けの特別な減免制度や、高齢者世帯への補助金制度を設けている自治体もありますので、該当する可能性がある方は積極的に情報を収集しましょう。
これらの制度は申請しなければ利用できないため、情報収集と早めの申請が重要です。地域包括支援センターや社会福祉協議会でも情報提供や申請のサポートを行っていますので、相談してみることをおすすめします。また、自治体の広報誌やウェブサイトで制度の案内が掲載されていることもありますので、定期的にチェックしておくとよいでしょう。
レンタル会社の選び方と交渉ポイント
福祉用具レンタル会社は、同じ福祉用具でも事業者によって料金設定が異なります。複数の事業者から見積もりを取り、料金とサービス内容を比較することで、コストパフォーマンスの高い事業者を選ぶことができます。ケアマネージャーに複数の事業者を紹介してもらい、それぞれの特徴や料金を確認してから決めましょう。料金だけでなく、対応の丁寧さ、訪問頻度、緊急時のサポート体制なども選択の重要なポイントです。
料金交渉の余地がある場合もあります。特に、複数の福祉用具をまとめてレンタルする場合や、長期契約を前提とする場合は、割引が受けられる可能性があります。また、事業者によっては、初回の搬入設置費用を無料にするキャンペーンを実施していることもありますので、タイミングよく契約できればコストを抑えられます。ただし、料金だけを重視して質の低いサービスを選んでしまうと、後々トラブルになることもありますので、バランスを考えて選択しましょう。
事業者選びでは、地域に密着した事業者と大手チェーンのどちらにもメリットがあります。地域密着型の事業者は、きめ細かなサービスや柔軟な対応が期待できる一方、大手チェーンは豊富な品揃えや安定したサービス体制が魅力です。また、メーカー系列の事業者は、特定メーカーの福祉用具に強みを持っています。ご自身のニーズや優先順位に合わせて、最適な事業者を選びましょう。
中古やリユースサービスの活用法
介護保険を利用した福祉用具レンタルでは、貸与される福祉用具は前の利用者が使用した中古品であることが一般的です。ただし、返却後には専門的な洗浄・消毒・点検が行われており、衛生面や安全面は保証されています。このリユースの仕組みがあるからこそ、低価格でのレンタルが実現しているのです。新品にこだわらず、適切にメンテナンスされた中古品を利用することで、コストを抑えることができます。
一部の事業者では、新品指定のオプションを用意していることもありますが、追加料金がかかります。ベッドや車椅子などの大型福祉用具は、中古品でも十分に機能しますし、衛生管理も徹底されていますので、特別な理由がない限り、標準の中古品レンタルで問題ありません。ただし、直接肌に触れる部分については、カバーやクッションなどを別途購入することで、より快適に使用できます。
介護保険の対象外となる福祉用具については、自治体や社会福祉協議会が運営する福祉用具リサイクル事業を活用できる場合があります。不要になった福祉用具を無償または低価格で譲り受けたり、逆に不要になった福祉用具を提供したりできる制度です。お住まいの地域でこのような事業が実施されているか、社会福祉協議会や地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。
レンタルの手続きと料金が決まる仕組み
福祉用具のレンタル手続きは、ケアマネージャーや福祉用具専門相談員のサポートを受けながら進めることになります。手続きの流れや料金の計算方法を理解しておくことで、スムーズにレンタルを開始できます。ここでは、契約から支払いまでの具体的な流れと、料金に関する注意点を解説します。
契約から納品までの手順
福祉用具レンタルの手続きは、まずケアマネージャーに相談することから始まります。ケアマネージャーは、利用者の身体状況や生活環境を評価し、必要な福祉用具をケアプランに位置付けます。その後、ケアマネージャーから紹介された福祉用具貸与事業者の福祉用具専門相談員が、利用者の自宅を訪問して、具体的な福祉用具の選定と利用方法の説明を行います。
福祉用具専門相談員は、利用者や家族の希望を聞きながら、複数の選択肢を提示し、それぞれの特徴や料金を説明します。この段階で、レンタル料金や付属品の費用、契約条件などをしっかり確認しましょう。見積書を受け取り、内容に納得したら契約を結びます。契約書には、レンタル料金、自己負担額、レンタル期間、解約条件、故障時の対応などが明記されていますので、よく読んで理解してから署名しましょう。
契約後、福祉用具の搬入日時を調整します。通常、契約から1週間程度で納品されますが、在庫状況や特注品の場合はもう少し時間がかかることもあります。納品時には、福祉用具専門相談員が福祉用具の設置を行い、使用方法や注意事項を説明します。実際に使用してみて、高さや角度などの調整が必要な場合は、その場で調整してもらえます。不明点や不安な点があれば、遠慮なく質問して解決しておきましょう。
レンタル開始月と解約月の料金計算
福祉用具レンタルの料金計算は、月単位で行われるのが一般的です。レンタル開始月の料金については、事業者によって日割り計算する場合と、月初めに開始したかどうかに関わらず1か月分の料金を請求する場合があります。多くの事業者では、月の途中からレンタルを開始した場合、日割り計算で料金を算出してくれますが、契約前に確認しておくことをおすすめします。
例えば、月額10,000円の福祉用具を15日からレンタルした場合、日割り計算であれば約5,000円の料金となります(月を30日として計算)。介護保険を利用して1割負担の場合、自己負担額は約500円です。このように、月の途中からレンタルを開始しても、利用日数に応じた公平な料金計算が行われます。
解約時の料金計算も同様に、日割り計算される場合と月単位で計算される場合があります。多くの事業者では、解約の申し出を受けてから福祉用具を回収するまでの期間を考慮し、月末までの料金を請求します。急な入院や施設入所などでレンタルを解約する場合は、できるだけ早めに事業者に連絡することで、余分な料金の発生を防ぐことができます。解約時の料金計算方法や連絡期限についても、契約時に確認しておきましょう。
まとめ
福祉用具のレンタル料金は、介護保険を利用することで自己負担1割から3割に抑えられる仕組みになっており、経済的な負担を大きく軽減できます。介護ベッドや車椅子、歩行器など、品目ごとに料金は異なりますが、介護保険適用により月額数百円から数千円の自己負担で利用できることが多いです。レンタル料金には基本的にメンテナンスや故障時の修理費用も含まれており、安心して使用できる体制が整っています。
福祉用具レンタルの手続きは、ケアマネージャーや福祉用具専門相談員のサポートを受けながら進められますので、初めての方でも安心して利用できます。料金に関する不明点や疑問があれば、遠慮なく専門家に相談し、ご自身の状況に最適な福祉用具を選択してください。適切な福祉用具の利用により、安全で快適な生活を送ることができます。
