2026年度診療報酬改定で訪問看護はどう変わる?質で選ばれる時代へ

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2026年度の診療報酬改定は、訪問看護にとって大きな節目になりそうです。これまでの「件数を増やす」発想から一歩進み、どんな専門的ケアを、どんな成果として地域に返せるのかが、より厳しく見られる流れになっています。

今回の改定の軸は、人材確保に向けた処遇改善の強化と、ICTを使った情報連携の推進です。特に精神科訪問看護では、医療としての成果を明確に示せるか、代わりのきかない専門性をどう担保するかが問われます。さらに、高齢者住宅などへの効率的な訪問を評価する包括型報酬の新設、物価高騰への対応も盛り込まれました。

これからの事業所に求められるのは、地域で選ばれるための「役割の明確化」と「運営の見える化」、そして医療機関との連携を日常の仕組みに落とし込むことです。この記事では、改定の狙いを整理しながら、訪問看護ステーションが今から押さえるべきポイントを、現場目線で分かりやすく解説していきます。

なぜ今「質」が問われるのか

これまで訪問看護は、在宅医療の拡大とともに件数を伸ばしてきました。しかし高齢化が進み、医療費の増加が続く中で、制度の持続可能性が強く意識されるようになっています。

「本当に必要な人に、必要な医療が届いているか」
「そのケアは入院を防ぎ、生活の質を高めているか」

こうした視点が、今後はより明確に評価される方向です。単に訪問回数を重ねるのではなく、重症者対応や急変予防、多職種連携による包括的支援など、成果が見える取り組みが求められます。

ベースアップ評価料と人材戦略

改定では、現場スタッフの処遇改善が一つの柱となっています。人材不足が深刻化する中、賃金水準の底上げは避けて通れません。

しかし、単に給与を上げるだけでは十分ではありません。
働きやすい環境づくり、教育体制の整備、専門性を高める仕組みづくりが同時に必要です。

これからは、
・精神科や難病、終末期などの専門領域を強化する
・キャリアパスを明確にする
・ICTを活用して業務負担を軽減する

といった総合的な人材戦略が、経営の安定につながります。

精神科訪問看護の高度化

精神科訪問看護は、今回特に注目される分野です。単なる見守りではなく、再発予防や服薬管理、生活支援を通じて医療的成果を出すことが求められます。

「なぜ訪問看護が必要なのか」
「その関わりで何が改善したのか」

これを説明できる記録と仕組みが不可欠になります。専門性を磨き、医療機関との密な情報共有を行うことが、今後の評価に直結します。

ICT活用と情報連携の強化

医療DXの流れは、訪問看護にも大きな影響を与えます。電子カルテの共有やオンラインでのカンファレンスなど、情報連携のスピードと正確さが問われます。

これにより、
・急変時の迅速な対応
・多職種間の認識のズレの防止
・重複業務の削減

が可能になります。ICTは単なる効率化ツールではなく、ケアの質を支える基盤になります。

包括型報酬と効率的訪問

高齢者住宅などへの訪問を効率的に行う体制も評価対象となります。ただし、効率だけを追うのではなく、質を維持しながら持続可能な体制を構築することが前提です。

訪問ルートの最適化や、チーム制の導入など、組織的な工夫が重要になります。

物価高騰と経営の再設計

光熱費や資材費の上昇は、すでに経営を圧迫しています。今回の改定は一定の配慮を示していますが、それだけで安心はできません。

今後は、
・コスト構造の見直し
・収益源の多様化
・地域連携による安定的な利用者確保

といった経営視点での再設計が不可欠です。

地域で選ばれる事業所になるために

これからの訪問看護ステーションは、

「何ができる事業所なのか」
「どんな強みがあるのか」

を明確に示す必要があります。

重症対応に強いのか、精神科に特化しているのか、終末期支援に実績があるのか。地域医療機関にとって信頼できるパートナーであることを、日々の実践で証明することが重要です。

まとめ

2026年度の診療報酬改定は、訪問看護を量の拡大から質の深化へと導く転換点です。人材確保、ICT活用、専門性の強化、効率的運営。これらを総合的に再設計することが、これからの経営の鍵になります。制度の持続可能性を高めながら、重症者や多様なニーズに応えられる体制を築くこと。それが、地域に本当に必要とされる訪問看護ステーションへの道です。