在宅介護・在宅支援 介護・医療・福祉コラム

2025.11.29

【保存版】介護疲れの対策とは?ー 家族の心と体を守る方法

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家族を介護することは、深い愛情や責任感から始まる大切な役割です。しかし、日々の介護は想像以上に心身に負担をかけ、多くの方が「介護疲れ」に悩まされています。この記事では、介護疲れの原因やサインを正しく理解し、すぐに実践できる10の具体的な対策方法をご紹介します。介護をされている方々が、少しでも心と体の負担を軽くし、自分らしい生活を取り戻すための道しるべとして、ぜひこの記事をお役立てください。

介護疲れの定義と現状

介護疲れは、家族を介護する中で生じる身体的・精神的な疲労やストレスが蓄積した状態を指します。単なる一時的な疲れではなく、継続的な介護負担によって心身が消耗し、日常生活に支障をきたすほどの状態に陥ることを意味します。

現代の日本では、高齢化の進行に伴い、介護が必要な高齢者が増加する一方で、介護を担う家族も高齢化しています。老老介護の割合は63.5%と過去最高を記録しており、介護者自身が70代、80代という状況も珍しくありません。また、健康寿命と平均寿命の差が大きく、介護期間が長期化していることも、介護疲れを深刻化させる要因となっています。

介護疲れの定義と発生メカニズム

介護疲れは、介護という行為そのものの負担だけでなく、さまざまな要因が複合的に絡み合って発生します。身体的には、移乗や排泄介助、夜間の見守りなど、休む間もない介護業務が体力を消耗させます。特に、腰や足への負担が大きく、慢性的な痛みや疲労感を抱える介護者も少なくありません。

精神的には、介護の終わりが見えない不安、認知症の方への対応による精神的ストレス、自分の時間が持てないことによる孤立感などが積み重なります。また、介護に専念するために仕事を辞めざるを得なかったり、社会との接点が減ったりすることで、自己肯定感の低下やうつ状態に陥る方も増えています。

さらに、介護は「頑張れば頑張るほど良い」という考えや、「家族が介護するのは当然」という社会的プレッシャーも、介護者を追い詰める原因となっています。こうした心理的負担が、身体的疲労と相まって、介護疲れを深刻化させるメカニズムとなっているのです。

介護疲れの進行段階(軽度〜重度)

介護疲れは、段階的に進行していくことが知られています。早期に気づき、適切な対処をすることが重要です。

軽度の段階では、日常的な疲労感や睡眠不足、イライラ感などが現れます。「最近疲れやすいな」「ちょっとしたことでイライラする」といった程度で、まだ介護を続けることができる状態です。しかし、この段階で休息やサポートを取り入れないと、徐々に症状が悪化していきます。

中等度になると、慢性的な疲労感、不眠、食欲不振、意欲の低下などが顕著になります。「何もやる気が起きない」「夜眠れない」「食事がおいしく感じられない」といった症状が続き、介護の質も低下し始めます。この段階では、介護者自身が心身の不調を自覚しているものの、「まだ大丈夫」と無理を続けてしまうケースが多く見られます。

重度の段階では、うつ病などの精神疾患、身体的な病気の発症、介護放棄や虐待といった深刻な問題が起こりえます。「もう限界」「消えてしまいたい」といった絶望感や、介護される側への怒りや憎しみといった感情が出てくることもあります。この段階に至ると、専門的な医療や支援が不可欠となります。

すぐできるセルフケアとリフレッシュ法

介護疲れを軽減するためには、介護者自身が自分の心と体をケアする時間を持つことが不可欠です。「介護が最優先」と考えがちですが、介護者が健康でなければ、質の高い介護を続けることはできません。ここでは、日常生活の中ですぐに実践できるセルフケアとリフレッシュ法をご紹介します。

睡眠・栄養・運動の基本ケア

心身の健康を維持するための基本は、睡眠・栄養・運動の3つです。まず、睡眠については、夜間の介護で睡眠が断片的になりがちですが、できるだけ決まった時間に就寝し、質の良い睡眠を確保する工夫が大切です。短時間でも昼寝を取り入れる、寝室の環境を整える(暗く静かで快適な温度)、就寝前にリラックスする時間を持つ、といった工夫が有効です。

栄養面では、疲労回復に必要なバランスの取れた食事を心がけます。忙しくて料理する時間がない場合は、冷凍食品や宅配弁当を活用しても構いません。特に、ビタミンB群(疲労回復)、ビタミンC(ストレス対策)、たんぱく質(体力維持)、鉄分(貧血予防)などを意識的に摂取することが推奨されます。水分補給も忘れずに行いましょう。

運動については、激しい運動をする必要はありません。1日10分程度のストレッチや散歩、軽い体操などで十分です。体を動かすことで血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれ、気分転換にもなります。介護従事者の調査では、足の疲労を感じる方が多いため、足のストレッチやマッサージを重点的に行うことも効果的です。運動は、うつ症状の予防や改善にも効果があることが科学的に証明されています。

短時間でできるストレス解消法

介護の合間に、短時間でできるストレス解消法を取り入れることも重要です。まず、深呼吸です。ゆっくりと深く息を吸い、ゆっくりと吐く、という動作を5回繰り返すだけで、副交感神経が働き、リラックス効果が得られます。イライラしたときや疲れを感じたときに、その場ですぐにできる方法です。

次に、好きな音楽を聴く、アロマテラピーを試す、温かいお茶を飲む、短い動画を観る、といった自分が心地よいと感じることを5分でも10分でも取り入れます。ストレス解消には、「自分のための時間」を意識的に作ることが大切で、たとえ短時間でも、自分を大切にする時間を持つことで、心の余裕が生まれます。

また、感情を吐き出すことも有効です。日記を書く、信頼できる友人や家族に話を聞いてもらう、オンラインのコミュニティで同じ境遇の人と交流する、といった方法で、溜まった感情を外に出すことで、心が軽くなります。一人で抱え込まず、「辛い」「疲れた」という気持ちを素直に表現することが、ストレス解消の第一歩です。

マインドフルネス・認知行動的アプローチ

近年、ストレス対策として注目されているのが、マインドフルネスや認知行動的アプローチです。マインドフルネスとは、「今この瞬間」に意識を向け、評価や判断をせずにただ観察する、という心の状態を指します。簡単な方法として、座って目を閉じ、呼吸に意識を向ける、体の感覚に注意を払う、といった瞑想があります。1日5分から始められ、継続することで、ストレスへの耐性が高まり、感情のコントロールがしやすくなります。

認知行動的アプローチは、ネガティブな考え方のパターンを認識し、より現実的でバランスの取れた考え方に変えていく方法です。例えば、「自分が全部やらなければならない」という思い込みを、「できることをできる範囲でやればいい」「人に頼ってもいい」と考え直すことで、心の負担が軽減されます。

また、「介護がうまくできない自分はダメだ」という自己否定的な考えに対しては、「完璧な介護者などいない」「頑張っている自分を認めよう」と自分を肯定する言葉をかけることが大切です。こうした認知の変化は、カウンセリングや認知行動療法の専門家の助けを借りることで、より効果的に行うことができます。

趣味・社会参加で心を整える方法

介護に追われると、自分の趣味や楽しみを諦めてしまいがちですが、心の健康を保つためには、介護以外の活動を持つことが非常に重要です。趣味に没頭する時間は、介護から一時的に離れ、自分らしさを取り戻す貴重な時間となります。

趣味の内容は何でも構いません。読書、園芸、手芸、音楽鑑賞、料理、絵を描く、など、自分が楽しいと感じることであれば、どんなことでも良いのです。時間がない場合でも、週に1回、30分だけでも自分の趣味の時間を確保することで、心のバランスが保たれます。

また、社会参加も孤立感を防ぐために有効です。地域の介護者の集いや介護者サロン、趣味のサークル、ボランティア活動などに参加することで、同じ境遇の人と出会い、悩みを共有したり、情報交換をしたりすることができます。オンラインのコミュニティやSNSを活用する方法もあります。人とつながることで、「自分だけではない」「理解してくれる人がいる」と感じられることが、大きな心の支えとなります。

公的支援と制度の活用方法

介護疲れを軽減するためには、公的な支援制度や介護保険サービスを積極的に活用することが重要です。しかし、制度やサービスの存在を知らない、または利用方法が分からないために、活用できていない方も多くいらっしゃいます。ここでは、利用できる主な公的支援と制度について解説します。

介護保険サービスの種類

介護保険は、介護が必要な方を社会全体で支える制度で、さまざまなサービスが提供されています。大きく分けると、在宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスの3つがあります。

在宅サービスには、訪問介護(ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行う)、訪問看護(看護師が訪問し、医療的ケアを提供)、デイサービス(通所介護、日帰りで施設に通い、食事や入浴、レクリエーションなどを受ける)、ショートステイ(短期入所、数日から1週間程度、施設に宿泊してケアを受ける)などがあります。

特にショートステイは、介護者がリフレッシュする時間を確保できるレスパイトケアとして非常に有効で、定期的に利用することで介護疲れを予防できます。また、福祉用具のレンタルや購入費の補助、住宅改修費の支給なども介護保険の対象となります。

施設サービスには、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院などがあり、要介護度が高く在宅での介護が難しい場合に利用します。地域密着型サービスには、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護、グループホームなどがあります。

これらのサービスを利用するには、まず要介護認定を受ける必要があります。市区町村の介護保険窓口に申請し、認定調査を受けることで、要支援1・2、要介護1〜5のいずれかに認定されます。認定後は、ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作成し、適切なサービスを組み合わせて利用できます。

行政・福祉の給付や助成制度

介護保険以外にも、行政や福祉が提供する給付や助成制度があります。まず、自治体独自の介護支援制度として、介護用品(おむつなど)の支給や購入費助成、介護者への慰労金支給、介護タクシーの利用補助などがあります。これらは自治体によって内容が異なるため、お住まいの市区町村の福祉課や地域包括支援センターに問い合わせて確認することをお勧めします。

また、経済的に困窮している場合は、生活保護制度や生活福祉資金貸付制度などの利用も検討できます。障害者手帳を持っている方の介護の場合は、障害福祉サービスも併用できる場合があります。

医療費や介護費の負担が高額になった場合は、高額介護サービス費制度や高額医療・高額介護合算療養費制度により、一定額を超えた分が払い戻される制度もあります。税制面では、介護にかかる費用は医療費控除の対象となることがあり、確定申告で控除を受けられる場合があります。

これらの制度を知り、適切に活用することで、経済的な負担を軽減し、介護疲れを和らげることができます。制度の詳細や申請方法については、ケアマネジャーや地域包括支援センター、社会福祉協議会などに相談すると、丁寧に教えてもらえます。

仕事と介護の両立支援

働きながら介護をする方は年々増加しており、仕事と介護の両立は多くの方が直面する課題です。しかし、適切な制度やサービスを活用することで、両立は可能です。ここでは、仕事と介護を両立するための支援制度や工夫について解説します。

介護休業・法的制度の利用方法

育児・介護休業法により、労働者は一定の条件のもとで介護休業を取得する権利があります。介護休業は、要介護状態にある家族を介護するために、通算93日まで、3回を上限として分割して取得できます。対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。

介護休業中は、雇用保険から介護休業給付金が支給され、休業開始前の賃金の67%が受け取れます。この制度を利用することで、介護の体制を整えたり、施設を探したりする時間を確保できます。また、介護休業とは別に、介護休暇(年5日、対象家族が2人以上なら年10日)も取得でき、1日または時間単位で利用できます。

さらに、短時間勤務制度(1日の所定労働時間を短縮)、時間外労働の制限、深夜業の制限なども法律で定められており、事業主に申し出ることで利用できます。これらの制度は、会社の規模や雇用形態によって条件が異なる場合があるため、就業規則や人事部門に確認することが大切です。

職場と交渉するポイント(時短・テレワーク等)

法定の制度以外にも、職場と交渉することで、柔軟な働き方を実現できる場合があります。まず、上司や人事担当者に、介護の状況を正直に説明し、理解を求めることが第一歩です。「突然の欠勤が増えるかもしれない」「定時退社が必要になる」といった具体的な状況を伝えることで、職場側も対応を考えやすくなります。

フレックスタイム制度やテレワークの活用も有効です。出社時間をずらしたり、在宅で仕事をしたりすることで、介護との両立がしやすくなります。特に、訪問介護やデイサービスの送迎時間に合わせて勤務時間を調整できれば、負担が大幅に軽減されます。

また、業務の優先順位や担当の見直しを提案することも検討しましょう。残業の多い業務や出張の多い業務を他のメンバーに引き継いでもらうなど、職場全体で協力体制を作ることが理想です。介護は誰にでも起こりうることなので、オープンに話すことで、周囲の理解や協力が得られることも多いです。

働きながら利用できるサービスと相談窓口

仕事と介護を両立するためには、介護サービスを積極的に活用することが不可欠です。デイサービスやショートステイを定期的に利用することで、仕事中の介護の心配を減らせます。また、訪問介護を利用して、朝の準備や夕方の食事介助などをサポートしてもらうことも有効です。

配食サービス(食事の宅配)や見守りサービス(センサーやカメラでの安否確認)なども、働きながら介護する方にとって心強いサポートとなります。ICT機器を活用した遠隔見守りや、介護ロボットの導入も、選択肢の一つです。

相談窓口としては、地域包括支援センターやケアマネジャーが中心となりますが、企業によっては社内に介護相談窓口や福利厚生サービスを設けている場合もあります。また、自治体や労働局が開設する仕事と介護の両立支援相談窓口も活用できます。

一人で悩まず、早めに相談することで、両立のための具体的なプランを立てることができます。介護離職は、経済的にも精神的にも大きな負担となるため、できる限り避けるべきです。制度やサービスを最大限に活用し、働きながら介護を続けられる環境を整えましょう。

介護負担を減らす実践テクニック

介護の身体的負担を軽減するためには、正しい介助方法や便利な用具を活用することが重要です。ここでは、日常的な介護動作のコツや、介護負担を減らすための実践的なテクニックをご紹介します。

移乗・排泄・入浴の介助のコツ

移乗介助(ベッドから車椅子への移動など)は、介護者の腰に大きな負担がかかる動作です。正しい方法を身につけることで、腰痛を予防し、介護される方も安全に移動できます。ポイントは、介護者が腰を落として膝を使う、介護される方の力を最大限に活用する、ボディメカニクスの原理(体の使い方の工学)を意識する、ことです。

具体的には、介護される方に体を前に倒してもらい、自分の体に引き寄せてから持ち上げる、回転させるときは小刻みに動かす、といった方法が有効です。また、スライディングボードやトランスファーベルトなどの補助具を使うことで、力を使わずに安全に移乗できます。

排泄介助は、デリケートな問題であり、介護される方の尊厳を守ることが最も重要です。トイレでの排泄を基本とし、手すりや補高便座などを活用して自立を支援します。おむつを使用する場合も、こまめな交換と清潔保持を心がけます。ポータブルトイレや尿器を利用することで、夜間の介助負担を軽減できます。

入浴介助は、転倒や溺水のリスクがあるため、安全対策が必須です。浴室に手すりや滑り止めマットを設置し、シャワーチェアを使うことで、座って洗体できます。湯温は38〜40度程度とし、長湯を避けます。自宅での入浴が難しい場合は、訪問入浴サービスやデイサービスの入浴サービスを利用することをお勧めします。

便利グッズ・介護用品の活用法

介護用品や福祉用具を活用することで、介護の負担を大幅に軽減できます。介護保険を利用すれば、多くの用具をレンタルまたは購入費補助で利用できます。

移動に関しては、車椅子、歩行器、杖などがあります。適切な用具を選ぶことで、介護される方の自立度が向上し、介護者の負担も減ります。ベッド周りでは、介護用ベッド(電動で高さや背もたれの角度を調整できる)、ベッド柵、床ずれ防止マットなどが有効です。

排泄用品では、ポータブルトイレ、尿器、おむつ、防水シーツなどがあります。食事用品では、自助具(握りやすいスプーンやフォーク)、食器用の滑り止めマット、ストロー付きコップなどが、自力での食事を助けます。

その他、リフト機器(移乗用リフトなど)、徘徊感知機器、靴のインソール(足の疲労軽減)なども、状況に応じて活用できます。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談し、最適な用具を選びましょう。

ICT・見守り機器・ロボットの導入事例

近年、ICT技術や介護ロボットの進歩により、介護負担を軽減する新しいツールが登場しています。見守りセンサーは、ベッドやトイレに設置し、動きを感知してスマートフォンに通知するシステムです。離れた場所からでも安否確認ができ、特に仕事をしながら介護する方に有効です。

見守りカメラは、リアルタイムで室内の様子を確認でき、声かけもできるため、安心感が高まります。GPS端末は、認知症の方の徘徊対策として、位置情報を把握できます。服薬管理アプリは、薬の飲み忘れを防ぐためのリマインダー機能があります。

介護ロボットとしては、移乗支援ロボット(腰の負担を軽減)、排泄支援ロボット、コミュニケーションロボット(会話や見守り)などがあります。まだ普及途上ではありますが、導入することで介護の質と効率が向上する可能性があります。

これらの機器やサービスの多くは、介護保険の対象や自治体の補助を受けられる場合があるため、積極的に情報収集し、活用を検討することをお勧めします。

まとめ

介護疲れは、介護者の心と体に深刻な影響を及ぼす重要な問題ですが、適切な対策を講じることで軽減し、予防することが可能です。この記事では、介護疲れの原因や兆候を理解し、すぐに実践できる対策方法をご紹介しました。介護疲れのサインを早期に察知し、無理をせず、自分自身を大切にすることが、結果的に介護される方への質の高いケアにつながります。この記事が、介護をされている皆さまの心と体を守り、少しでも前向きに介護に向き合うための一助となれば幸いです。