【本館】生涯おいしく食べるを応援! なぜパタカラ?
デイサービスいこいの里「本館」では「生涯おいしく食べるを応援します!」をキャッチフレーズにしてご利用者と一緒にご飯やおやつを作ったり、管理栄養士による栄養改善プログラムも実施しており、「おいしく食べる」を実現するため、様々なアプローチからの取り組みをしています。
本館の「食」プロジェクトはシリーズものにしてお届けします。
ご飯をおいしく、そして安全に食べるために、デイサービスのほうで必ず食前に行っている体操があります。
それが「パタカラ体操」です。
なぜ「パタカラ」なのか、ってずっと思っていましたが、ちゃんと意味があるんです!
今日は「パタカラ」体操について説明してみたいと思います。
「パタカラ」と発音する時、全て食事の時に使うのと同じ箇所を使って発音しています。
「パ」の音
日本語の「パ」は音声学では口唇破裂音(こうしんはれつおん)と言い、唇が最も強く影響する音です。唇をきちんと閉じて破裂させることによって出す音です。
唇の大切さを確認したければ口を開けたまま水を飲んでみましょう。
うまく飲み込めず、苦労します。
おそらくですが、若干水分が口腔内に残ってしまいます。唇が開いたままの状態で食事をしているとこれが残渣物となり、口腔内の雑菌の温床となってしまいます。これが睡眠中に唾液誤嚥などを起こすと誤嚥性肺炎になるリスクが増してしまいます。
ですから、そうならぬよう、「ンパッ!」とするのです。
「タ」の音
「タ」は舌の前の方と歯茎の裏側~口の天井の硬い部分(硬口蓋)の破裂音です。音声学では歯茎破裂音(しけいはれつおん)と言います。舌はほぼ筋肉でできており、食べ物をすり潰す重要な役割を担っています。また味わう、食物を左右に移動させるなど様々な動きを行います。
この運動をスムーズに行うために「タ!」と発声するのです。
なお、硬口蓋の神経には「ゴックンOKだよ!」のサインもあります。ですから、上義歯を装着している方は嚥下力が低下している可能性があります。
「カ」の音
音声学で軟口蓋破裂音(なんこうがいはれつおん)と言います。
ここがしっかりしないと咽頭、すなわち喉への送り込みがうまく行きません。
食べ物が口腔内に残ってしまいます。
舌の後ろ部分は奥舌といい、歯や舌ですり潰してできた食べ物、(食塊といいます)を喉に送り込む重要な役割を担います。
驚くほど盛り上がり、喉に送り込みます。
その時に近い動きをするのが「カ」なのです。
「ラ」の音
音声学では歯茎はじき音(しけいはじきおん)などと呼ばれます。ラ行は一般的に最も習得が襲い音(5歳ぐらいが中央値です)です。舌を反り返り、ペタン!と落としつつ母音のアを載せるのが「ラ」。
メチャクチャ舌が器用に動きます。ですからこれは舌の運動の集大成のようなものですね。
舌は味わう他、食べ物を左右に動かして歯で噛み砕く、すり潰す、そして喉に送り込む際の最重要器官になります。
これらが最も凝縮されているのが「パタカラ体操」なのです。